【怪物確定】33秒6-33秒9……怪物しか刻めないラップ

今後に注目すべき馬

① 怪物確定――

競馬には、結果だけでは測れないレースがある。

勝ったから凄いのではない。
時計が速かったから凄いのでもない。

その一戦の中に、
「未来のGⅠ馬」が見える瞬間がある。

先週の日曜日。
私は、その瞬間を目の当たりにした。

その馬の名は――
トミーバローズ。

もはや怪物候補ではない。

私は、このレースを見て確信した。

怪物確定である。


② 重賞の裏で生まれていた歴史

先週の日曜日。
新潟競馬場では、夏の名物重賞・アイビスサマーダッシュが開催された。

日本で唯一の直線1000メートル重賞。

スピード自慢たちが激突するこの舞台で、
ピューロマジックが見事な連覇を達成。

さらに、長年破られることのなかったカルストンライトオのレースレコードまで更新し、
5歳となった今もなお進化を続ける姿を全国へ示した。

まさに主役にふさわしい走りだった。

しかし、その数時間前――。

多くの競馬ファンが重賞へ意識を向ける中、
唯一重賞の行われなかった中京競馬場で、
歴史に残るかもしれない一頭が静かに走っていた。

中京6R・中京スポニチ賞。

そこには、
未来のスプリント界を変える可能性を秘めた一頭がいた。

その名は――
トミーバローズ。


③ 前走で見せた”異常”

実は、この馬を初めて高く評価したのは前走だった。

東京1600メートル。

一見すると、ただ強いだけの勝利。

しかしラップを分析すると、
その内容は常識を超えていた。

特に注目したのが後半5ハロン。

56秒0。

この数字は、
アーモンドアイをはじめ、
日本競馬史に残る名馬たちと比較しても最上位クラス。

動画でも私は、

「次走こそ本当の実力が分かる」

そう話した。

本当に強い馬なら、
条件が変わっても勝つ。

展開が向かなくても勝つ。

不利があっても勝つ。

そしてトミーバローズは、
その答えを、
誰も予想できない形で見せつけることになる。


④ 最悪のスタート

ゲートが開く。

しかし、
スタートで痛恨の出遅れ。

わずかな遅れ。

だが高速決着となる1400メートルでは、
その数完歩が致命傷になる。

さらに今回は中京1400メートル。

直線は長いとはいえ、
コーナーで加速しづらく、
前が止まりにくいコース。

後方一気が決まり続ける舞台ではない。

しかもレースは、
前半3ハロン33秒6という超ハイペース。

前も速い。

後ろも苦しい。

普通なら差し馬は脚を使わされ、
最後は止まる。

それが競馬である。

だからこそ、
この時点で勝負はかなり厳しいと思った。


⑤ 残り200メートル

4コーナー。

まだ後方。

直線へ向いても、
前には何頭もの馬が壁となって立ちはだかる。

進路はない。

騎手も追い出せない。

ようやく外へ持ち出せたのは、
残り200メートル付近。

この時点で、
まだ後方3番手。

普通なら、
ここから届くことはない。

まして相手には、
実力馬アイニードユーがいる。

勝負は決した。

誰もがそう思った。


⑥ 次元の違う加速

しかし――。

その瞬間だった。

トミーバローズだけ、
脚色がまるで違った。

加速した、
という表現では足りない。

地面を滑るように。

空気を裂くように。

一完歩ごとに、
前との差が消えていく。

周囲の馬たちが脚色を失う中、
この馬だけが、
さらに加速していく。

映像だけを見ても異様だった。

最後は実力馬アイニードユーを完全に捕らえ、
そのまま差し切り勝ち。

ただ勝ったのではない。

力でねじ伏せた。

そう表現するしかない内容だった。


⑦ 本当に凄いのはラップだった

しかし、
私が最も驚いたのは、
その豪脚ではない。

ラップタイムだった。

前半3ハロン。

33秒6。

後半3ハロン。

33秒9。

一見すると、
速いラップにしか見えない。

だが、
この組み合わせが異常だった。

1400メートル戦において、

33秒6-33秒9。

過去のJRA主要開催を振り返っても、
このラップ構成はほぼ存在しない。

つまり、
競馬史上でも極めて珍しいレベル。

高速で流れながら、
最後まで失速しない。

普通は前半が速ければ、
終いは必ず落ちる。

しかし、
このレースは落ちなかった。

それだけレース全体のレベルが高く、
その中で最後まで脚を使えたトミーバローズの能力は、
数字以上に価値がある。


⑧ 56秒0が意味するもの

さらに驚くべき数字がある。

後半5ハロン。

56秒0。

過去10年、
この数字を記録した馬を調べると、

ダノンスマッシュ。

ウインマーベル。

ママコチャ。

ウリウリ。

いずれも重賞戦線で活躍した一流馬ばかりだった。

偶然ではない。

56秒0という数字そのものが、
トップクラスの能力を証明している。

そして今回、
トミーバローズもその領域へ到達した。

いや、
条件を考えれば、
それ以上だったと言える。


⑨ レコードタイの価値

勝ち時計は、

1分18秒7。

しかもレコードタイ。

ただし、
私は時計だけでは評価しない。

時計は馬場で変わる。

展開でも変わる。

重要なのは、
その時計をどういう競馬で出したか。

今回は、

・出遅れ。

・後方待機。

・前が壁。

・追い出し遅れ。

これだけの不利がありながら、
レコードタイ。

だから価値がある。

スムーズなら、
さらに速かった可能性すらある。

そう考えると、
この時計の意味はさらに重くなる。


⑩ GⅠ級の証明

私は普段、
簡単に「GⅠ級」という言葉は使わない。

能力評価は慎重に行う。

しかし、
今回だけは違った。

ラップ。

時計。

展開。

不利。

相手関係。

すべてを総合して考えても、

このレースは、
GⅠ級の能力を証明した一戦だった。

まだ3勝クラス。

しかし能力だけを見るなら、
重賞でも十分通用していい。

そう思わせるだけの説得力があった。


⑪ 唯一の不安

ただ一つだけ、
どうしても気になることがある。

血統である。

父は、
ヘンリーバローズ。

そして叔父にあたるのが、
シルバーステート。

どちらも、
競馬ファンなら誰もが知る才能馬だった。

しかし、
二頭とも脚部不安によって、
あまりにも早くターフを去った。

能力は間違いなく一級品。

それでも、
競走馬は無事でなければ夢を叶えられない。

この血統には、
その不安がどうしても付きまとう。

だから私は、
次走が楽しみである一方、
無事でいてほしいという気持ちの方が強い。


⑫ 怪物候補では終わらない

競馬には、
一瞬だけ輝いて消えていく才能もある。

だからこそ、
本物には長く走ってほしい。

トミーバローズには、
まだ見ぬ大舞台が待っている。

重賞。

そしてGⅠ。

その先には、
日本最強スプリンターへの道もあるかもしれない。

今回のレースは、
単なる3勝クラスの勝利ではない。

未来のGⅠ馬が、
その能力を世に示した証明のレースだった。

もはや怪物候補ではない。

怪物確定。

あとは、
その才能が無事に育ち、
最高峰の舞台で証明される日を待つだけである。

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