YES――その言葉を体現する一頭
YES――。
たった3文字。
しかし、これほど前向きで、これほど力強く、そしてこれほど多くの人に知られた言葉はないだろう。
挑戦を肯定する言葉。
夢を後押しする言葉。
失敗を恐れず、一歩を踏み出す勇気を与える言葉。
そして人生を前へ進める言葉。
YES。
その言葉を日本中に広めた男がいる。
高須克弥。
美容外科医として知られ、実業家としても成功を収めた人物だ。
テレビやSNSでも積極的に発信を続け、多くの人々に強烈な印象を残してきた。
その高須克弥氏が競走馬オーナーとして送り出した一頭の馬がいる。
その名は――タカスタカスタカス。

名前を聞いただけで思わず笑みがこぼれるような個性的な馬名だが、その実力は決してネタでは終わらない。
むしろ今、ダート短距離路線で大きな注目を集める存在となりつつある。
今週日曜、東京9レース・甲州街道特別。
その舞台に、この快速馬が姿を現す。
果たして重賞級の能力は本物なのか。
今回はタカスタカスタカスという一頭について詳しく見ていきたい。
アメリカからやって来た快速スプリンター
タカスタカスタカスはアメリカから輸入された外国産馬である。
通算成績は4戦2勝。
まだキャリアは浅い。
しかし、その少ないレース数の中で強烈なインパクトを残している。
日本競馬のダート路線は近年レベルが大きく向上している。
フォーエバーヤングやレモンポップに代表されるように、世界でも通用する馬が次々と誕生している。
その一方で、アメリカ型のスピード能力を前面に押し出した外国産馬も依然として大きな魅力を持つ。
タカスタカスタカスはまさにその典型だ。
アメリカ競馬らしいパワー。
アメリカ競馬らしいスピード。
そして短距離戦で武器になる先行力。
現代ダート競馬に必要な要素を数多く備えている。
能力が証明された前走

その能力が大きく注目されたのは前走だった。
舞台は中山ダート1200メートル。
スタートが切られると好発を決め、自然と先団へ取り付く。
短距離戦では序盤から激しいポジション争いになることも多い。
しかしこの馬は違った。
無理に抑える必要もない。
掛かる素振りも見せない。
まるで自分のリズムを知り尽くしているかのようにレースを進めていく。
そして迎えた直線。
鞍上のゴーサインとともにギアが一段上がった。
そこからは独壇場だった。
先頭へ並びかけると一気に突き抜ける。
後続は追っても追っても差が縮まらない。
最後は6馬身差。
圧倒的なパフォーマンスだった。
勝ったというよりも、能力の違いを見せつけたと言った方が正しいかもしれない。
時計が示す重賞級の可能性
競馬において着差は相手関係によって変わる。
しかし時計は嘘をつかない。
タカスタカスタカスの勝ち時計は1分10秒1。
さらに4ハロン47秒3。
この数字が非常に優秀だった。
過去10年の同条件を振り返ると、この水準を記録した馬の中には重賞戦線で活躍した快速馬たちの名前が並ぶ。
ジャスティン。
テイエムトッキュウ。
ゴールドクイーン。
ヒロシゲゴールド。
いずれも後に重賞タイトルを獲得した実力馬である。
つまり、この数字は単なる1勝クラス級の時計ではない。
重賞級のスピード能力を示す数字なのである。
さらに興味深い事実がある。
これらの馬たちでさえ、このレベルの時計を記録したのは古馬になってからが多い。
しかしタカスタカスタカスはまだ3歳。
成長途上の段階でこの数字に到達している。
これは非常に大きな意味を持つ。
馬は一般的に4歳から5歳にかけて肉体的な完成期を迎える。
まだ伸びしろを残した状態で重賞馬級のパフォーマンスを示しているのであれば、将来的にさらに上の舞台を目指せる可能性も十分にある。
血統表に刻まれたスピード

その快速ぶりは血統表にも色濃く表れている。
父はアメリカGⅠ馬Mor Spirit。
現役時代はロスアラミトスフューチュリティやメトロポリタンハンデキャップなどを制した実力馬である。
父の父はEskendereya。
アメリカ競馬ファンの間では伝説的な才能として知られる名馬だ。
さらに母父にはLiam’s Map。
こちらもアメリカGⅠ馬であり、圧倒的なスピード能力を武器に活躍した。
血統表をさらに遡れば、Unbridled’s SongやHarlan’s Holidayといった名血も並ぶ。
どこを見てもアメリカ型スピード血統で埋め尽くされている。
日本のダート馬には持続力やスタミナを重視した血統も多い。
しかしタカスタカスタカスは違う。
求められているのは爆発力。
一気に加速し、先頭へ立ち、そのまま押し切る能力である。
まさに典型的なアメリカ型ダートスプリンターと言えるだろう。
東京1400メートルはどうか
今回の舞台は東京ダート1400メートル。
前走より200メートル距離が延びる。
ここが最大のポイントになる。
一般的に中山1200メートルはスタートからゴールまでスピード能力が問われるコース。
一方、東京1400メートルはスピードだけでは勝ち切れない。
長い直線を踏ん張る持続力も必要になる。
ただし、この馬のレース内容を見る限り距離延長が大きなマイナスになる印象はない。
前走では序盤から飛ばしていたわけではなく、しっかり折り合ってレースを運んでいた。
精神面にも余裕がある。
その点を考えれば1400メートルは十分守備範囲だろう。
むしろ東京の広いコースに替わることで、持ち前のスピードをよりスムーズに発揮できる可能性もある。
もちろん競馬に絶対はない。
昇級戦には昇級戦の壁がある。
しかし少なくとも能力面では通用して不思議ではない。
YESと叫ぶ未来はあるのか
そして迎える甲州街道特別。
さらなる飛躍への挑戦。
結果は誰にも分からない。
競馬に絶対はない。
だが、夢に挑むことを恐れない者だけが次の景色を見ることができる。
前へ進むのか。
壁に跳ね返されるのか。
その答えはゴール板の先にある。
もし再び先頭で駆け抜けるなら。
もし再び圧倒的なスピードを見せつけるなら。
その時、競馬ファンは確信するだろう。
この馬は単なる条件馬ではないと。
重賞戦線へ向かう新たな快速馬が誕生したのだと。
そしてきっと、多くのファンがこう叫ぶはずだ。
YES――。
と。

コメント