今週から、いよいよ中山競馬が開幕します。
秋競馬のスタートを告げる中山開催。その土曜10レース、白井特別に、個人的に非常に注目している一頭が出走します。
その名は――インプロペリア。
前走は約1年3か月もの長期休養明け。それだけでも決して簡単な条件ではありませんでしたが、さらに馬体重は前走からプラス30キロ。
それでも、インプロペリアは東京芝1400mで先手を奪い、そのまま後続を寄せ付けることなく勝利しました。
そして、そのレースで記録した数字を過去の東京芝1400mと比較してみると、非常に興味深い馬たちの名前が浮かび上がってきます。
さらに今回は、前走の1400mから1200mへ200mの距離短縮。
長期休養明けで見せたスピードが、より短い舞台でどのように生かされるのか。
今回は、白井特別に出走するインプロペリアについて、その前走内容とラップ、そして距離短縮による可能性を見ていきたいと思います。
デビュー戦から見せていた高いスピード能力

インプロペリアがデビューしたのは、一昨年11月の東京競馬場でした。
初戦から持ち前のスピードを生かして先手を奪うと、そのままレースの主導権を握ります。
直線に入っても脚色は衰えず、最後まで後続を寄せ付けない走りを披露。
結果は2着馬に2馬身差をつける逃げ切り勝ちでした。
新馬戦としては優秀なラップを刻んでの勝利で、当時から高いスピード能力を感じさせる内容だったと思います。
その走りが評価され、翌春には一気に重賞へ挑戦。
選ばれた舞台は、桜花賞の前哨戦として知られるフィリーズレビューでした。
キャリアわずか1戦ながら2番人気。
それだけデビュー戦の内容が高く評価されていたことが分かります。
しかし、ここでは12着。
初めての重賞挑戦は厳しい結果となりました。
そして、その後にインプロペリアをさらなる試練が襲います。
屈腱炎を発症。
競走馬にとって非常に厄介な故障の一つです。
インプロペリアはここから約1年3か月もの長期休養に入ることとなりました。
約1年3か月ぶりの復帰戦
そして今年6月。
長い休養期間を経て、インプロペリアがようやくターフへ戻ってきます。
復帰戦に選ばれたのは、東京芝1400mの1勝クラス。
約1年3か月ぶりの実戦。
当然ながら、レース勘や息遣いなど、実際に走ってみなければ分からない部分もあったはずです。
さらに馬体重を見ると、前走からプラス30キロ。
成長分も含まれていたでしょうが、これだけ大幅な増加となれば、久々の実戦でどこまで動けるのかという点も気になるところでした。
ところが――。
そんな不安を吹き飛ばすような走りを見せます。
スタートからスッと先手を奪い、インプロペリアがレースを引っ張ります。
1400m戦で前へ行くだけのスピードを見せながら、道中ではしっかりと息を入れる。
そして直線。
長い東京の直線を迎えても脚色は簡単には衰えません。
後続が迫ってくる中でも先頭を守り、最後まで並ばせることなく押し切りました。
約1年3か月ぶりの復帰戦を勝利。
しかし、個人的に注目したいのは、単に「休み明けで勝った」という事実だけではありません。
非常に興味深かったのが、そのレースで記録した数字です。
勝ち時計1分20秒7――前後半ともに優秀

インプロペリアが復帰戦で記録した勝ち時計は、
1分20秒7。
そして前半3ハロンは、
34秒5。
後半3ハロンは、
34秒4。
前半からある程度のスピードを使いながら、最後まで大きく失速していません。
レース内容を見ても、ただ単純にハイペースで逃げ、そのまま粘り込んだというものではありませんでした。
序盤で先手を奪い、中盤では一度しっかりと息を入れる。
そこから終盤に再び加速する。
自らレースを作りながら、最後まで脚を残していた点は高く評価したいところです。
特に東京芝1400mは、直線の長さもあります。
逃げ・先行馬にとって、前半でスピードを使いすぎれば最後に苦しくなりやすい舞台です。
そこで前半3ハロン34秒5を刻みながら、後半3ハロンも34秒4でまとめた。
では、この数字は実際にどれほど優秀だったのでしょうか。
そこで、過去10年の東京芝1400mについて調べてみました。
同じ条件を満たした馬は、その後すべてオープンクラス以上へ
今回、過去10年の東京芝1400mについて、以下の条件で調べています。
・前半3ハロン34秒5以内
・後半3ハロン34秒4以内
・4コーナー4番手以内
つまり、序盤からある程度前のポジションを取りながら速い前半を刻み、それでいて終盤にも高いスピードを残していた馬です。
この条件を満たした馬を調べてみると、非常に興味深い名前が並びました。
まずは――ラウダシオン。
後にNHKマイルカップを制し、さらに京王杯スプリングカップも勝利した重賞馬です。
続いて――ワールズエンド。
こちらも後に京王杯スプリングカップを制覇。
そして、個性的な走りでオープンクラスまで駆け上がったリフレイム。
さらに、オープンクラスで活躍したウインシャーロット。
つまり、この条件に該当した馬たちは、その後すべてオープンクラス以上へ進んでいます。
もちろん、過去に同じ数字を記録した馬が活躍したからといって、インプロペリアも同じところまで出世すると断定することはできません。
競馬では馬場状態、展開、斤量、相手関係などによって時計やラップの価値は変化します。
しかし少なくとも、インプロペリアが1勝クラスの復帰戦で記録した数字が、過去の実績馬たちと比較しても非常に興味深い水準だったことは確かです。
個人的には、**「重賞級の可能性を感じさせるラップ」**だったと評価しています。
しかも「1年3か月ぶり+30キロ増」だった

そして、今回のインプロペリアを評価するうえで忘れてはいけないポイントがあります。
この走りを見せたのが、順調にレースを使われてきた状態ではなかったことです。
約1年3か月ぶりの実戦。
さらに馬体重はプラス30キロ。
長期休養を経験した馬の場合、復帰戦では実戦感覚が戻っていなかったり、最後に息切れしたりするケースも珍しくありません。
それでもインプロペリアは、自ら先手を奪ってレースを作り、東京の長い直線でも最後まで脚を残しました。
そして何より、一度実戦を経験した今回は、前走以上の状態で出走してくる可能性があります。
長期休養明けを一度使ったことによる上積み。
これがどの程度あるのか。
ここは今回の白井特別を見るうえで、非常に重要なポイントになりそうです。
今回は1400mから1200mへ距離短縮
そして今回、もう一つ大きな変化があります。
前走の東京芝1400mから――
中山芝1200mへ。
200mの距離短縮です。
これは非常に興味深い条件変更だと思います。
前走のインプロペリアは1400m戦で先手を奪えるだけのスピードを見せています。
しかも前半3ハロン34秒5で運びながら、後半も34秒4。
つまり、単に前へ行けるだけではなく、スピードを持続させる能力も見せました。
今回の1200mでは、1400m以上に序盤から速い流れになる可能性があります。
その中で前走と同じようなポジションを取れるのか。
あるいは1200mの流れに合わせて、好位から競馬を進めるのか。
ここは実際にゲートが開いてみなければ分かりません。
ただ、少なくとも前走で示したスピードを考えれば、200mの距離短縮そのものは非常に面白い材料です。
前走のパフォーマンスが1400mだからこそ発揮できたものなのか。
それとも、1200mへ短縮されることで持ち前のスピードがさらに引き出されるのか。
今回の白井特別では、その答えの一端が見えてくるかもしれません。
父ロードカナロア――1200mへの対応にも期待

血統面にも注目してみましょう。
インプロペリアの父は、ロードカナロア。
母父は、シンボリクリスエスです。
ロードカナロアといえば、現役時代に国内外のスプリント戦線で圧倒的な実績を残した名馬。
産駒はさまざまな距離で活躍していますが、父から受け継ぐスピード能力を考えれば、今回の1200mへの距離短縮にも期待を持ちたくなります。
一方、母父シンボリクリスエスからはパワーや底力も感じさせる配合です。
そのため、仮に馬場が多少渋ったとしても、血統だけを理由に大きく評価を下げる必要はないのではないかと見ています。
もちろん、実際の道悪適性についてはレースで確認する必要があります。
それでも今回の条件変更を考えたとき、血統的にも興味深い一頭であることは間違いありません。
インプロペリアは、さらに上のクラスへ進めるのか
約1年3か月ぶり。
そして、プラス30キロ。
決して簡単ではない条件で迎えた復帰戦。
そこでインプロペリアが刻んだのは、
1分20秒7。
前半3ハロン34秒5。
後半3ハロン34秒4。
過去10年の東京芝1400mで同様の条件を満たした馬を振り返れば、ラウダシオン、ワールズエンド、リフレイム、ウインシャーロットと、その後オープンクラス以上へ進んだ馬たちが並びます。
そして今回は、復帰戦を一度使ったうえでの2戦目。
さらに1400mから1200mへ200mの距離短縮となります。
もし、あの復帰戦が完成形ではなかったとすれば――。
インプロペリアには、まだ上があるのかもしれません。
長期休養を乗り越え、再びターフへ戻ってきた素質馬。
前走で見せたスピードが、1200mへの距離短縮によってさらに引き出されるのか。
そして、過去のデータに並んだ馬たちのように、この先オープン、さらには重賞戦線へと駆け上がっていくことができるのか。
今週の白井特別。
インプロペリアの走りに注目したいと思います。


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