クラシックへ向けた“本当の主役”は誰だ?
いよいよ今週、中山競馬場で弥生賞ディープインパクト記念が開催される。皐月賞と同じ中山芝2000mで行われるこの一戦は、単なるトライアルではない。ここで好走した馬が、そのままクラシックの中心へと躍り出るケースは数えきれないほど存在する。
想定では、東スポ杯を制したパントルナイーフ、そして朝日杯の敗戦から距離延長で巻き返しを図るアドマイヤクワッズが人気を集める見込みだ。実績、完成度、世代評価――どれを取っても上位評価は妥当だろう。
しかし忘れてはならないデータがある。
・1番人気は7年連続で未勝利
・さらに2年連続で1番人気が馬券圏外
この事実が示すのは、「実績=勝利」ではないということだ。中山2000mという特殊な舞台設定、3歳春という成長過程の差、そして本番を見据えた仕上げの違い。さまざまな要素が絡み合い、弥生賞は波乱を演出してきた。
つまり今年も、“主役交代”の可能性は十分にある。
今回は、その中でも特に注目したい2頭を取り上げたい。
想定3番人気 ライヒスアドラー
“鷲の紋章”が中山で羽ばたく
まず取り上げるのは、想定3番人気のライヒスアドラー。
前走は東スポ杯で3着。一見すると善戦止まりにも映るが、内容を精査すると評価は大きく変わる。
3コーナーで他馬と接触。勝負所で外へ持ち出すことができず、やむなくインコースを追走する形となった。直線でも内ラチ沿いを突く厳しい進路。それでも最後はしっかり脚を伸ばして3着を確保した。
スムーズさを欠きながらの好走。着順以上に価値のある内容だったと言える。
さらに注目したいのはコーナリング。左回りではやや膨れる場面があり、コーナーでスピードに乗り切れなかった。しかし今回は右回りの中山。回り替わりは明確なプラス材料だ。
新馬戦では2歳中山1800mで過去最速クラスの上がりを記録している。すでにこの舞台で高い適性を示している点は心強い。
中山2000mは
・スタート後すぐにコーナーへ向かう
・向正面で一旦息が入りやすい
・4コーナーでの機動力が問われる
総合力が試されるコースだ。
ライヒスアドラーは
機動力
内で我慢できる操縦性
直線での持続力
これらをすでに示している。
古くからドイツで使用される鷲の紋章を名に持つこの馬。その名の通り、大空へ羽ばたく資質を秘めている。
ここで真価を示せば、一気に皐月賞の中心候補へ浮上する可能性もある。まさに試金石の一戦だ。
想定4番人気 バステール
ラップが示す“重賞級”の資質
もう1頭、想定4番人気のバステール。
新馬戦では評判馬ゴーラッキーに敗れて2着。しかしそのゴーラッキーは世代上位と評価される存在。敗戦は決して悲観材料ではない。
真価を見せたのは前走の未勝利戦だ。
スタートはやや遅れたが致命的なロスではなく中団へ。勝負所で前との差を詰め、直線では鋭い末脚を発揮。先行馬を交わして1着。2走目で順当に勝ち上がった。
内容以上に注目したいのはラップだ。
勝ち時計は2分00秒7。
4ハロン46秒3、3ハロン33秒9。
過去10年の2歳芝2000m戦で
勝ち時計2分00秒7以内
4F46秒3以内
3F33秒9以内
この水準を満たした馬は限られている。
ミュージアムマイル(G1・2勝)
ファントムシーフ(重賞1勝)
キングズレイン(3勝クラス)
いずれも重賞級、あるいはそれ以上へ出世した馬ばかりだ。
つまりバステールは、数字上すでに“重賞級のラップ”を刻んでいることになる。
中山2000mは4コーナーでの加速力と、直線の急坂を乗り越える持続力が重要。その両方を前走で示している点は大きい。
今回は一段と相手が強化されるが、能力比較で大きく見劣るとは思えない。展開ひとつで一気に突き抜ける可能性を秘めている。
1番人気ではない、だからこそ面白い
弥生賞は完成度だけで決まるレースではない。
コース適性
成長曲線
展開
仕上がり
これらがわずかに噛み合わなければ、人気馬は簡単に敗れる。
今年もその匂いは十分にある。
ライヒスアドラー
バステール
この2頭は1番人気ではない。しかし素質は極めて高い。
上位想定2頭との力比べ。ここでどこまで通用するのか。クラシック戦線を占う意味でも非常に重要な一戦だ。
弥生賞は単なる前哨戦ではない。
ここで主役が入れ替わる可能性がある。
鷲は羽ばたくのか。
それとも新星が歴史を塗り替えるのか。
今週の中山で、未来の皐月賞馬が姿を現す瞬間を、ぜひ見届けたい。

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