【持ったままでソダシ級?】重賞級ラップを楽々記録…バルセシートが武田尾特別に出走

今後に注目すべき馬

持ったままで――
ソダシ級?

今週から、いよいよ阪神競馬が開幕します。

その日曜9レース、芝1600mで行われる「武田尾特別」。

ここに、私が非常に注目している3歳馬が出走します。

その名は――

バルセシート。

すでに重賞でも好走実績を残している素質馬ですが、今回注目したいのは単純な実績だけではありません。

自己条件へ戻った前走で記録したラップ。

そして、その数字を叩き出した時の圧倒的な「余力」です。

過去の3歳馬と比較してみると、その走りからは再び重賞戦線へ向かえるだけの可能性が見えてきました。

今回は、バルセシートの前走をラップから詳しく振り返っていきます。

すでに重賞で能力を示してきたバルセシート

まず最初に押さえておきたいのが、バルセシートは突然現れた無名の素質馬ではないということです。

ここまでの戦績は7戦2勝。

今年のシンザン記念では4着。

さらにチャーチルダウンズカップでは3着と、すでに重賞の舞台でも上位争いを経験しています。

つまり、今回の前走だけを見て「条件戦で強い勝ち方をした馬」というわけではありません。

もともと世代上位クラスを相手に戦ってきた下地があり、その馬が自己条件へ戻ったところで改めて高い能力を見せた――。

ここが非常に重要なポイントだと思います。

3歳春までの重賞戦線では勝ち切るところまではいかなかったものの、決して大きく能力が足りなかったわけではありません。

そして3歳夏。

成長期を迎えたタイミングで、バルセシートは非常に興味深いレースを見せました。

前走の中京芝1600mで見せた圧倒的な余力

バルセシートが自己条件へ戻って迎えた前走。

舞台は中京芝1600mの1勝クラスでした。

スタートではやや出遅れ。

しかし、そこで慌てることなく、すぐに好位までポジションを押し上げます。

レースの前半800mは46秒8

極端なスローペースから直線だけの瞬発力勝負になったわけではありません。

ある程度流れた中でバルセシートは4コーナーを4番手で通過。

そして直線へ入ります。

ここからの走りが、非常に印象的でした。

直線へ向いても鞍上の手はほとんど動かない。

バルセシート自身もまだ持ったまま。

ところが、追い出しを待っている段階から後続との差が徐々に開いていきます。

最後までムチもほとんど使われることなく、そのまま2着馬に2馬身差をつけて快勝。

着差だけを見れば「2馬身差」。

しかし、実際のレース内容から受ける印象は、その数字以上だったのではないでしょうか。

全力を振り絞って何とか2馬身差をつけたのではなく、まだ余力を残した状態で後続を突き放した。

だからこそ、このレースは時計や着差だけで評価するのではなく、その中身まで見ておく必要があります。

勝ち時計1分32秒9、後半5ハロン57秒5

そして、ここからが今回最も注目したいポイントです。

バルセシートの勝ち時計は、

1分32秒9。

さらにレースの後半5ハロンは、

57秒5。

非常に優秀な数字です。

では、この数字が3歳馬の芝1600m戦としてどの程度の水準にあるのか。

そこで過去10年、3歳馬が走った芝1600m戦を対象に、

前半4ハロン46秒8以内

後半5ハロン57秒5以内

さらに、

4コーナー4番手以内

という条件で調べてみました。

つまり、ある程度速い流れを前で追走しながら、それでもレース後半を高い水準でまとめた馬を探した形です。

すると――

そこには非常に興味深い馬たちが並びました。

条件を満たした中にはGI馬ソダシ

代表的な存在が、

ソダシ。

白毛馬として史上初のGI制覇を成し遂げ、桜花賞をはじめ芝のマイル戦線でもトップクラスの能力を証明した名馬です。

さらに、

サクラトゥジュール。

コンクシェル。

ほかにも、

ロデオドライブ。

アイサンサン。

など、その後も高いレベルで走った馬たちが条件に該当していました。

もちろん、これは「この条件を満たしたからソダシと同じ能力がある」という意味ではありません。

競馬場、馬場状態、レース展開、斤量など条件はそれぞれ異なります。

ラップ比較だけで能力を完全に横並びにすることはできません。

それでも、

「3歳時に前半からある程度流れたマイル戦を前で運び、なおかつ後半5ハロン57秒5以内でまとめた」

という事実は、バルセシートの能力を考えるうえで一つの興味深い材料になります。

特に重要なのは、単純に速い上がりを使っただけではないという点です。

前半800m46秒8という流れを、4コーナー4番手以内で追走。

そこから後半5ハロン57秒5。

前半で脚を温存した後方待機馬が最後だけ速い脚を使ったケースとは意味合いが違います。

一定以上の巡航速度を維持しながら、最後までスピードを落とさない。

マイル戦で上のクラスへ進んでいくためには、非常に重要な能力です。

しかも「目一杯」ではなかった

そして、バルセシートをさらに評価したくなる理由があります。

それは、この数字を目一杯走って記録したわけではないことです。

前述した通り、直線では長い時間、鞍上の手がほとんど動いていません。

まだ持ったままの状態で後続との差を広げ、最後まで大きく追われることなくゴール。

つまり、

1分32秒9という勝ち時計が、バルセシートの限界だったとは言い切れない。

ここに大きな魅力があります。

時計というものは基本的に「実際に記録された数字」で評価します。

しかし競走馬の能力を考える場合、その数字を「どのように記録したのか」も重要です。

同じ1分32秒9でも、ゴール前で完全に脚が上がりながら絞り出した時計と、余力を残して記録した時計では、次走へ向けた評価は変わってきます。

バルセシートの場合は明らかに後者。

重賞でも好走してきた馬が自己条件へ戻り、優秀なラップを余力十分で記録した。

もしかすると3歳夏を迎え、春までとは馬自身が変わってきているのかもしれません。

キズナ産駒、母系にはレシステンシア

さらに血統面にも注目です。

父は――

キズナ。

そして母系には、GI馬レシステンシアを輩出した実績ある牝系が広がっています。

レシステンシアといえば阪神ジュベナイルフィリーズを制し、その後も桜花賞、NHKマイルカップ、高松宮記念、スプリンターズステークスなど国内外の大舞台で活躍。

高いスピード能力を長期間にわたって発揮しました。

バルセシート自身も1600mを中心に高いパフォーマンスを見せていますが、そのスピード能力を考えるうえでも興味深い母系です。

また、この牝系からは古馬になってからも活躍した馬が出ています。

そのため、バルセシートについても「3歳春までで完成してしまった馬」と決めつける必要はないでしょう。

むしろ今回の前走を見る限り、成長の余地を残している可能性があります。

春の重賞戦線を経験し、夏を迎えて馬体や精神面が成長。

その結果が、前走の余裕あるパフォーマンスにつながったのだとすれば――。

これから秋へ向けて、さらに面白い存在になるかもしれません。

武田尾特別は再び重賞へ向かうための一戦

そして今週。

バルセシートが出走するのが、阪神芝1600mで行われる武田尾特別です。

今回は1勝クラスから2勝クラスへの昇級戦。

当然、前走より相手関係は強くなります。

前走のように簡単な競馬ができる保証もありません。

だからこそ、この一戦は現在のバルセシートの実力を測るうえで非常に面白いレースになると思います。

重賞で好走してきた実績。

前走で刻んだ優秀なラップ。

そして――

数字以上に感じさせた、あの圧倒的な余力。

これらを考えれば、単なる「昇級戦の3歳馬」として片付けるには惜しい存在です。

もし前走が本格化の兆しだったのであれば、2勝クラスも通過点になる可能性があります。

逆に、ここでどの程度のパフォーマンスを見せられるかによって、前走の評価が本物だったのかも見えてくるでしょう。

そして、ここを突破するようなら――

その先に再び重賞の舞台が見えてきます。

春にはシンザン記念4着、チャーチルダウンズカップ3着。

すでに重賞で戦えるだけの片鱗は見せています。

そこからさらに成長した姿で秋を迎えることができれば、今度は「重賞好走馬」ではなく、「重賞を狙える馬」へ。

そんな期待まで抱かせてくれます。

まとめ――持ったままで記録した「ソダシ級」の条件

前走、中京芝1600mで2馬身差の快勝。

勝ち時計は1分32秒9。

前半4ハロン46秒8。

後半5ハロン57秒5。

そして4コーナー4番手。

過去10年の3歳馬で同様の条件を満たした中には、GI馬ソダシをはじめ、その後も高いレベルで活躍した馬たちがいました。

それだけでも興味深い数字ですが、バルセシートの場合、さらに強調したいのが直線で見せた余力です。

まだ持ったまま。

それでも後続との差は開いていった。

だからこそ、前走の1分32秒9をこの馬の能力の上限だと考えるのは早いでしょう。

すでに重賞で好走していた素質馬が、3歳夏を迎えてさらに一段階成長したのか。

それとも、前走は自己条件だからこそ見せられたパフォーマンスだったのか。

その答えを探る意味でも、今回の武田尾特別は非常に重要な一戦になります。

持ったままで――ソダシ級?

もちろん、現時点でソダシと同等の馬だと断定することはできません。

しかし、少なくとも前走で刻んだ数字と、その数字を記録した時の余力には、上のクラスを期待したくなるだけのものがありました。

今週、阪神で行われる武田尾特別。

バルセシート。

再び重賞戦線へ向かう存在となるのか。

その走りに――

注目です。

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