極寒の中で行われる京都の3歳重賞、きさらぎ賞。
このレースは単なる前哨戦ではない。
寒さの底から、クラシックという春の頂点へと向かう重要な一戦であり、
過去には多くの名馬がここを通過点として羽ばたいていった。
今年のきさらぎ賞は、出走予定10頭と比較的少頭数。
少頭数という条件は、展開の紛れが起きにくく、
純粋な能力差=地力の差がはっきりと表れやすい舞台だ。
だからこそ、人気馬が順当に走りやすい一方で、
前走で敗れて評価を落とした実力馬が、
一気に巻き返す余地もまた大きい。
今回注目したいのは、
前走敗退という共通点を持ちながら、内容的には評価を下げる必要のない2頭。
表面的な着順だけで見限るのは、あまりにも危険な存在だ。
牝馬軽視は禁物――ラフターラインズの真価

【東京2R・2歳未勝利】3代母がローズバドのラフターラインズが最速上がりで初V 戸崎圭太騎手「いいフットワーク」 – UMATOKU | 馬トク
まず1頭目は、想定7番人気と見られているラフターラインズ。
今回のメンバーで唯一の牝馬という点もあり、
どうしても「格下」「割引」と見られがちだが、
この馬は数字を見れば見るほど、軽視できない存在である。
特筆すべきは、前々走の東京芝1800m・未勝利戦。
スタートでやや出遅れながらも、中団までポジションを押し上げ、
直線では他馬の間を割って鋭く伸びてきた。
内で粘っていたセキテイリノを交わすと、
そこからは完全に脚色が違った。
一気に突き放し、切れ味の違いを見せつける完勝。
内容は未勝利戦とは思えないレベルだった。
この時の勝ち時計は1分46秒0。
さらに注目すべきは上がり5ハロン58秒4という数字だ。
過去10年の東京芝1800mにおいて、
勝ち時計1分46秒台、かつ上がり5ハロン58秒4以内を記録した馬は――
- イクイノックス
- コントレイル
- クロワデュノール
- マスカレードボール
- ニシノデイジー
いずれも後に重賞、あるいはGⅠ戦線で活躍した
スーパーホース級の面々である。
そこに牝馬であるラフターラインズが名を連ねる事実は、
決して偶然ではない。
牝馬としては破格のラップであり、
潜在能力は明らかに重賞級と言っていい。
前走3着は敗戦か?それとも価値ある内容か

しかし前走は3着。
これだけを見ると「壁に当たった」と判断されがちだが、
レース内容を精査すると、むしろ評価を上げるべき一戦だった。
1000m通過は63秒という超スローペース。
後方から差すタイプにとっては、
物理的に届かない展開だったと言っていい。
それでもラフターラインズは、
上がり最速の脚を記録。
展開に完全に逆らいながらも、自身の能力はしっかりと示した。
つまりこの敗戦は、能力不足ではなく、
ペース判断と展開の問題。
内容としては、全く評価を下げる必要のない一戦である。
牝馬だから、前走で負けたから――
そんな理由で軽視するのは危険すぎる。
ラフターラインズは、確実に“巻き返すだけの材料”を持っている。
内容最強の3着――ゴーイントゥスカイの反撃

続いて2頭目は、ゴーイントゥスカイ。
この馬もまた、前走敗退によって評価を落としている一頭だが、
こちらも中身を見れば、非常に濃い内容を持っている。
新馬戦では、ラスト1ハロン11秒2という優秀なラップで勝利。
一瞬の加速力が求められる京都外回りで、
重賞級の瞬発力を見せていた。
そして注目すべきは前走、京都2歳ステークス。
スタート直後に両サイドの馬に挟まれ、
さらに1コーナーではバルセシートと接触。
この影響で大きく外へ膨れるという、致命的とも言える不利を2度受けた。
普通なら、ここでレースは終わる。
しかしゴーイントゥスカイは違った。
向こう正面から徐々に進出し、
緩みのない厳しい流れの中で、
直線では強気に先頭へ立つ競馬。
さすがに最後は差されて3着となったが、
内容は明らかにメンバー中で最も強い。
負けてなお評価を上げる、典型的な一戦だった。
敗因が明確な敗戦は、次走こそが狙い目
ラフターラインズとゴーイントゥスカイ。
この2頭に共通するのは、
- 前走で敗退していること
- しかし敗因がはっきりしていること
- 能力そのものに陰りは全くないこと
である。
競馬において最も危険なのは、
「着順だけで評価を下げられた実力馬」。
きさらぎ賞という舞台は、
まさにそうした馬が一気に評価を覆すレースになりやすい。
地力が問われる少頭数戦。
極寒の中で行われる、春へ向かう重要な一戦。
この2頭の逆襲には、
最大限の警戒が必要だ。
人気だけで決めつけず、
中身を見抜いた者だけが辿り着ける答えが、
今年のきさらぎ賞には確かに存在している。

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