――衝撃の末脚を見せた2頭を振り返る
東西のメイン重賞がともに大荒れとなった先週の中央競馬。
馬券的にも波乱続出の難しい開催となったが、その一方で東京競馬場の芝コースでは、明らかに「異常」と言っていいほどの高速馬場が出現していた。
開幕週という要素に加え、含水率の低さ、クッション値の高さなど複数の条件が重なり、各レースで速い時計が連発。
特に日曜日の東京開催では、条件戦にもかかわらず「これは重賞級では?」と思わせるパフォーマンスがいくつも見られ、競馬ファンの度肝を抜いた。
今回はその中から、日曜日の東京開催でとりわけ強烈な末脚を披露した2頭をピックアップし、数字と内容の両面から振り返っていきたい。
日曜東京12レース
アウダーシア ―― 気性難を力でねじ伏せた衝撃の11秒0
まず紹介したいのが、日曜東京12レースを制したアウダーシアだ。
この馬の名前を聞いてピンと来た方もいるかもしれない。
2歳時、東京芝1800mの新馬戦で好時計をマークし、ダノンヒストリーの新馬戦で2着に入った馬。
その勝ち時計は、2歳東京1800mの歴代でも上位に入る優秀な数字であり、レースレベルの高さは当時から指摘されていた。
そのアウダーシアが、日曜の最終レースに登場したわけだが――
正直に言って、レース前の雰囲気は決して褒められたものではなかった。
返し馬では他馬を蹴り上げるなど、明らかに落ち着きを欠いた挙動。
ゲート内でも集中力を欠き、レースが始まってからも終始掛かり気味。
折り合い面に関しては、**「課題だらけ」**と言っていい内容だった。
しかし、それでもこの馬は「能力の違い」をはっきりと見せつける。
直線に入り、ルメール騎手がようやく馬を落ち着かせると、そこからの反応は別次元。
追い出されてからの伸びは余裕十分で、前を行く馬たちを一気に交わし去り、最後は危なげなく初勝利を挙げた。
特筆すべきは、ラスト1ハロンの11秒0という衝撃的な数字だ。
過去10年、3歳の東京1800m戦において
・勝ち時計1分50秒0以内
・ラスト1ハロン11秒0以内
この条件を同時に満たした馬は以下の5頭のみ。
- ジャスティンミラノ
- アルバートドッグ
- レーベンスティール
- シックスペンス
- ベストミーエヴァー
そしてこの5頭のうち、実に4頭が重賞馬となっている。
レース前は暴れ、レース中も引っ掛かり通し。
決してスムーズとは言えない競馬内容だったにもかかわらず、それでもこの末脚を使えるという事実。
これは裏を返せば、改善の余地がまだまだ大きいということでもある。
気性面が成長し、折り合いがつくようになれば、
この馬がさらに上のステージで通用する可能性は十分にあるだろう。
今後の成長曲線が非常に楽しみな1頭だ。
日曜東京10レース
ウイントワイライト ―― 数字が示す“GⅠ級”の資質
続いて取り上げたいのが、東京10レースを制したウイントワイライト。
前走は、直線で前が詰まる不完全燃焼の競馬。
能力を出し切れなかったことは明らかで、度外視可能な一戦だった。
そして迎えた今回のレース。
ウイントワイライトは比較的前目のポジションでレースを進め、道中も折り合いはスムーズ。
直線に入ると、ルメール騎手が迷いなく外へ持ち出し、進路を確保する。
残り200m。
溜めに溜めた末脚が一気に解放されると、その伸びはまさに圧巻。
後続を寄せ付けない脚で抜け出し、見事に3勝クラスを突破した。
このレースで記録した数字が、また衝撃的だ。
- 勝ち時計:1分21秒0
- 上がり3ハロン:33秒1
過去10年の全競馬場・芝1400m戦において
・勝ち時計1分21秒0以内
・上がり3ハロン33秒1以内
この条件を満たした馬は、ダノンスマッシュのみ。
言うまでもなく、スプリント界を代表する名馬であり、GⅠを2勝した超一流馬だ。
つまりウイントワイライトの今回のパフォーマンスは、
数字上はGⅠ馬クラスと完全に一致しているということになる。
デビューから一貫して高いレベルで走り続け、折り合いにも不安がない。
課題があるとすれば、直線の短いコースでは持ち味を最大限に活かしづらい点だろう。
それでも、東京や新潟、阪神外回りといった
直線の長い舞台では、重賞級のパフォーマンスを発揮できる可能性が高い。
ぜひ一度、マイル重賞での走りを見てみたい1頭だ。
まとめ
東京の直線が生んだ、2頭の才能
東京競馬場の長い直線で、鮮烈な末脚を見せたアウダーシアとウイントワイライト。
タイプは違えど、どちらも「数字が嘘をつかない」強烈な内容だった。
- アウダーシアは折り合い面に大きな課題
- ウイントワイライトは舞台適性がやや限定的
それぞれ不安要素は抱えているものの、それを補って余りあるポテンシャルを秘めている。
今後クラスが上がり、条件が厳しくなる中で、
この2頭がどこまで通用するのか。
競馬ファンとしては、ぜひ覚えておきたい存在だ。
次走、そしてその先のステージで、
再び“異常な数字”を叩き出す瞬間を楽しみにしたい。


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