先週の日曜の中山開催。
クラシックへ向けた重要な前哨戦、弥生賞ディープ記念が行われた。
今年の弥生賞は、素質馬バステールが見事に勝利。
皐月賞へ向けて新たな主役候補が誕生し、
春のクラシックが一気に楽しみになった一戦だった。
しかし、その弥生賞の熱気の裏で――
競馬ファンの度肝を抜く、ある衝撃的な出来事が起きていた。
まだ誰も知らない一頭の馬が、
未勝利戦の歴史を書き換える走りを見せていたのである。
その馬の名は
ラベルセーヌ。
舞台は同日の中山5レース、
3歳未勝利戦(芝1800m)。
このレースでラベルセーヌは、
競馬ファンに強烈なインパクトを残すことになる。
遅すぎるデビュー
ラベルセーヌのデビューは
3歳3月。
現在の競馬界において、
これは決して早いデビューとは言えない。
むしろ、かなり遅い部類に入る。
近年のクラシック路線では
2歳の夏から秋にかけてデビューする馬が多く、
年明けには多くの有力馬が既に実戦を経験している。
皐月賞や日本ダービーを目指す馬たちは
早い段階から実績を積み上げ、
トライアルレースで優先出走権を争っている。
そんな中、ラベルセーヌは
まだ一度もレースに出走していなかった。
もちろん理由はあった。
早くから関係者の間では
「素質はかなり高い」
と評価されていたものの、
体質の弱さ
そして
気性面の難しさ
この2つの課題を抱えていたのである。
調教では高い能力の片鱗を見せながらも
万全の状態でレースに送り出すことが出来ない。
そのためデビューは何度も延期され、
気が付けば同期の馬たちは次々と勝ち上がり、
クラシック戦線へと向かっていた。
ラベルセーヌは
そんな状況の中で迎えた
ようやくのデビュー戦だった。
静かな序盤
ゲートが開くと、
ラベルセーヌはまずまずのスタートを決めた。
初出走の馬によく見られる
大きな出遅れもなく、
落ち着いた立ち上がり。
しかし、無理に前へ行くことはせず
騎手はあえて後方の位置を選択した。
道中は後方集団で脚を溜めながら追走。
初の実戦ということもあり、
序盤は無理をさせない
慎重なレース運びだった。
先行勢が淡々とレースを進める中、
ラベルセーヌは静かに時を待つ。
まだ、この時点では
この馬が歴史的なタイムを記録するなど
誰も想像していなかっただろう。
突如始まった進出
レースが動いたのは
3コーナー付近。
ここでラベルセーヌは
突如として進出を開始する。
それまで後方にいた馬が
一気に加速。
外へ持ち出されると
みるみるうちにポジションを押し上げていく。
4コーナーでは
なんと大外をぶん回す形で
先行勢へ接近。
普通ならロスの大きいこの進路。
しかしラベルセーヌは
まるでそれを感じさせない勢いで
先団へ取り付いていった。
そして迎えた直線。
ここからの脚は
まさに別次元だった。
圧巻の末脚
直線に入ると
ラベルセーヌは一気に加速。
並びかける間もなく
先頭へ躍り出る。
そしてそのまま
後続を突き放していった。
脚色は全く衰えない。
むしろ
ゴールへ向かうほど
さらに伸びているようにも見える。
その結果――
2着に5馬身差。
圧倒的な勝利だった。
実況アナウンサーも
その走りに一瞬戸惑うほど。
未勝利戦とは思えないほどの
インパクトを残す勝ち方だった。
歴史を書き換えたタイム
しかし、このレースの衝撃は
着差だけではない。
もっと驚くべきは
勝ち時計である。
ラベルセーヌの勝ち時計は
1分47秒0。
このタイムは
なんと
3歳中山芝1800m未勝利戦の史上最速タイム。
つまり、
これまで行われてきた
同条件の未勝利戦の中で
最も速いタイム
ということになる。
それだけでも十分驚きだが、
さらに衝撃的なのは――
この時計が
前日に行われた重賞
中山牝馬ステークスよりも
0.1秒速い
という点だ。
もちろん馬場差などの条件はあるが、
未勝利馬が
重賞レースと比較されるレベルのタイムで
走破したという事実は
決して軽視できるものではない。
初出走でこのパフォーマンス。
まさに
規格外のデビュー戦だった。
遅れたからこその可能性
ラベルセーヌのデビューは
確かに遅かった。
3歳3月。
クラシックを目指すには
決して有利とは言えない時期だ。
しかし逆に言えば、
それだけキャリアはまだ1戦。
経験値という意味では
まだ伸びしろだらけとも言える。
体質の問題が改善され、
レース経験を積んでいけば
さらに大きく成長する可能性も
十分に考えられる。
むしろ今回のパフォーマンスを見る限り
潜在能力は
まだ完全には引き出されていない可能性すらある。
次走への期待
これだけのパフォーマンスを見せた以上、
当然次走にも大きな注目が集まる。
次は自己条件なのか。
それとも一気に重賞へ挑戦するのか。
ローテーションはまだ分からない。
しかし一つ言えるのは
今回の走りによって
ラベルセーヌという名前が
競馬ファンの記憶に刻まれた
ということだ。
デビューは誰よりも遅れた。
しかしその一戦で
誰よりも強烈な印象を残した。
まだ未知数の存在ではあるが、
今回の走りを見る限り
この馬が今後
大きな舞台へ進んでいく可能性は
決して低くないだろう。
ラベルセーヌの次走はどこなのか。
そしてこの馬は
どこまで強くなるのか。
これからの成長を
見守るのが楽しみで仕方がない。

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