正月競馬で現れた“神の末脚”――グランドプラージュが見せた異次元の可能性

年が明け、2026年の中央競馬がいよいよ幕を開けた。
今年最初の開催、いわゆる「お正月競馬」。
競馬ファンにとっては新年の運試しとも言える特別な開催であり、毎年どこか波乱の匂いが漂うのがこの時期だ。
実際、今年も例外ではなかった。
凍結防止剤の影響を受けたダートは例年通り癖が強く、各馬の能力差だけでは測れない、まさに“荒れる条件”が揃っていた。
単勝170倍台という超大穴馬の激走が飛び出し、100万馬券が飛び出すレースもあれば、最低人気の馬が堂々と押し切る一戦もあった。
2026年の競馬は、年明け早々から波乱の連続。
そんな混沌とした流れの中で、今年最初の京都開催において、競馬ファンの記憶に強烈に刻まれる「一つの衝撃」が走った。
土曜京都9R 天ケ瀬特別

圧倒的人気に応えた一頭――グランドプラージュ
舞台は土曜京都9R・天ケ瀬特別。
ここで主役として圧倒的な支持を集めていたのが、グランドプラージュだった。
単勝オッズは1.3倍。
力が違う、と言わんばかりの支持率で、ファンの視線はほぼこの馬一頭に集まっていた。
「順当に勝つだろう」
多くの人がそう考えていたはずだ。
しかし、レースはスタート直後から暗転する。
ゲートを出た瞬間、隣の馬と激しく接触。
大きな不利を受け、序盤でバランスを崩す形となった。
好位を取るどころか、リズムを作ることすら難しい展開。
さらに、その接触の影響で折り合いを欠き、道中の走りは明らかにチグハグだった。
本来なら、これだけの不利を受ければ勝ち負け以前に「能力を出し切れず終わる」ケースも珍しくない。
観衆の中にも、心配そうな視線を送る人は多かったはずだ。
だが――
この馬は、そんな常識を軽々と覆してみせる。
直線で炸裂した“神の末脚”

4コーナーを回り、直線に向いた瞬間。
そこから、競馬場の空気が一変した。
グランドプラージュが、外から一気に加速。
先行勢との差をみるみる詰め、あっという間に射程圏へと捉える。
そして残り200m、完全にギアが入った。
ダート戦では滅多に見られない、まさに“異次元”の末脚。
一頭だけ次元の違う脚色で突き抜け、先行勢を一掃すると、そのまま後続を突き放してゴール板を駆け抜けた。
序盤の大きな不利。
折り合いを欠いた道中。
決して「理想的な展開」ではなかったにも関わらず、最後は力の違いを見せつける完勝。
その瞬間、スタンドは静かなざわめきとともに、確かな興奮に包まれていた。
数字が証明する“GⅠ級の末脚”

このレースで記録した勝ち時計は 1分52秒4。
そして、上がり3ハロンは 35秒9。
この数字が、どれほど優秀なものなのか。
過去10年の京都ダート1800m戦を振り返ると、
・勝ち時計1分52秒4以内
・上がり3F 35秒9以内
この両方を同時に満たした馬は、わずか数頭しか存在しない。
その中には――
GⅠを4勝した名馬
重賞戦線で主役を張った強豪たち
が名を連ねている。
該当馬6頭中、実に4頭が重賞級以上の実績を残している事実は、この一戦が「ただの条件戦ではなかった」ことを雄弁に物語っている。
しかも忘れてはならないのが、グランドプラージュは序盤で大きな不利を受けていたという点だ。
折り合いを欠き、十分に脚を溜めたとは言い難い展開。
それでも、あの末脚を繰り出した。
これはもう、能力が抜けていると考えるほかない。
比較対象は、すでにGⅠ馬

【京都・舞鶴S】大器ダブルハートボンドが4戦無敗でオープン入り 坂井瑠星「力でねじ伏せることができました」(東スポ競馬)|dメニューニュース(NTTドコモ)
さらに興味深いデータがある。
昨年のチャンピオンズカップを制したダブルハートボンド。
彼女もまた、昨年の今頃は2勝クラスの身だった。
同じ京都、同じ距離、同じ2勝クラス。
その条件下で記録した勝ち時計を比べると、今回のグランドプラージュの方が上回っている。
もちろん、単純比較はできない。
馬場状態や展開、レース質は異なる。
だが、それを差し引いても「無視できない事実」であることは確かだ。
正月競馬で見せた“神の脚”
まだ2勝クラスを勝ち上がったばかり。
それでも、この走り、この数字、この内容。
今年の年末、GⅠの舞台にこの馬が立っていたとしても、何ら不思議ではない。
そう思わせるだけの説得力が、この一戦にはあった。
正月競馬で見せた、神がかった末脚。
荒れた馬場、厳しい展開をものともしない底知れぬポテンシャル。
グランドプラージュ――
2026年、ダート戦線を語る上で欠かせない存在になる可能性は、十分すぎるほどにある。
次走が、今から待ち遠しい。


コメント