秋の東京競馬場に、またひとつ注目すべき存在が現れようとしている。
明日の東京7R・3歳以上1勝クラス。その中で、どうしても目を離せない一頭がいる。
その名は――エンジェルブリーズ。
母は2017年の桜花賞馬、レーヌミノル。
スプリント戦線を席巻した“快速女王”が、いま再びターフにその血を甦らせようとしている。
母譲りの血が呼び覚ます“快速”
レーヌミノル――。
あの春、堂々たるスピードで桜花賞を制した名牝だ。
1400m前後を主戦場に、圧倒的な加速力で世代の頂点に立った。
その娘、エンジェルブリーズ。
まだ3歳ながら、その走りには母の面影を感じる“閃光”が宿っている。
だが、彼女の歩んできた道は決して平坦ではなかった。
デビューはやや遅れた今年の3月。
育成段階で慎重にスピードを磨き、満を持して中山の新馬戦に臨んだ。
大外枠からのゲート――決して有利とは言えない条件だったが、彼女は怯むことなく前へ出た。
3、4コーナーでスムーズに進出すると、直線ではまるで風のように抜け出した。
初陣での見事な勝利。
しかも、その相手は経験馬を含むメンバー構成だった。
普通なら勢いだけでは勝ち切れないが、彼女は一頭だけ別次元の加速を見せた。
中山1800m“歴代2位”の衝撃
勝ち時計は1分47秒9。
この数字は中山芝1800mの新馬・未勝利戦としては、過去10年で2番目に速い記録だ。
比較対象に挙がるのは、同じ距離で行われた**フラワーカップ(GⅢ)**の勝ち馬と、わずか0.1秒差。
さらに驚くべきは、上がり4ハロンが46.9秒という異常値。
この「1分47秒9+46.9」というセットを記録した馬は、過去10年間で重賞3勝馬コントラチェックただ一頭。
つまり、エンジェルブリーズの新馬戦は、単なる好走ではなく“重賞級の水準”に達していたと言っていい。
その走りは、まさに母レーヌミノルが持っていた**“瞬発力のDNA”**が覚醒した瞬間だった。
フローラSで味わった“壁”
陣営もその才能に惚れ込み、次に選んだのは果敢な挑戦だった。
まだ1勝馬ながら、春のオークストライアル――**フローラステークス(GⅡ・東京2000m)**へと出走。
だが、ここで彼女は“壁”にぶつかる。
初めての2000m。距離の壁は思いのほか高かった。
序盤から折り合いを欠き、道中はやや行きたがる素振り。
直線では持ち味の切れを発揮できず、結果は大敗に終わった。
しかし、この敗戦に悲観する声はほとんどなかった。
多くの関係者が口をそろえたのは――
「この馬の真価はスピードにある。」
フローラSで見せた“空回り”は、言い換えれば“持て余すほどのスピード”の裏返しだったのだ。
東京1400m――“最適解を迎える条件”
そして今回、舞台は再び東京へ。
距離は1400m。
中山1800mよりもスピードが活き、かつ息の入りやすいこの条件こそ、エンジェルブリーズにとって“最適解”と言える。
しかも、自己条件戦への出走。
前走のような重圧もなく、心身ともにリセットされた状態で臨む。
人気は想定13倍・7番人気と伏兵扱いだが、数字だけで判断してはいけない。
なぜなら、彼女が既に刻んでいる時計とラップは重賞級の水準。
もしその力が発揮されるなら、ここで一気に“格上の走り”を見せる可能性がある。
“風”となって駆け抜ける才能
母レーヌミノルが桜花賞を制したとき、彼女の走りを評して多くの人がこう言った。
「まるで風のようだった。」
その言葉は、娘エンジェルブリーズにもそのまま重ねられる。
脚質も、瞬間的な加速の鋭さも、どこか似ている。
螺旋のように受け継がれた“快速の血”が、再び東京のターフで輝こうとしている。
フローラSの敗戦を糧に、1400mでそのスピードを解き放つ時。
静かな朝の東京競馬場に、ひとつの“風”が吹く。
それは――
母の魂を受け継いだ娘が見せる、再生の疾走。
結び ― “快速の風”は再び吹く
血統、時計、ラップ、そして舞台。
そのすべてが、エンジェルブリーズにとって噛み合う日が来た。
フローラSの敗戦で一度は評価を落としたが、数字は嘘をつかない。
中山1800m・1分47秒9、上がり4F46.9。
この“異常値”は、重賞級のポテンシャルがある何よりの証拠。
母のように、風のように。
エンジェルブリーズ――再びターフに“快速の風”を吹かせる時が来た。
明日の東京7R、その一走は“見逃せない13倍の盲点”だ。
🏇まとめポイント
- ✅ 中山1800m「1分47秒9」「上がり46.9」は重賞級の記録
- ✅ 母は桜花賞馬レーヌミノル、その血統が蘇る
- ✅ フローラS大敗は度外視。1400mへの距離短縮が鍵
- ✅ 人気薄だが、条件が揃えば再び輝く可能性十分


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