秋競馬の幕開け ― 神戸新聞杯とは
2025年9月。
秋の気配が漂い始めた関西の競馬場では、3歳馬たちの頂点を決める菊花賞に向けた重要な前哨戦――神戸新聞杯が開催される。
このレースは、関西で唯一の菊花賞トライアル。
距離が延びる3000mの本番を見据え、スタミナや折り合い、そして勝負根性が試される大一番だ。
過去にはエピファネイア、サトノダイヤモンド、ワグネリアンといった名馬たちがここを通過点として菊花賞、さらにはその先のクラシックロードを駆け抜けてきた。
そんな舞台に、今年大きな注目を集める一頭がいる。
その名は――ライトトラック。

XユーザーのDaigoさん: 「今週の神戸新聞杯に出走予定のライトトラック。密かに期待している楽しみな1頭。 https://t.co/anxcc7Uq1K」 / X
名伯楽・友道康夫調教師が送り出す“最終兵器”
ライトトラックを管理するのは、名伯楽・友道康夫調教師。
思い出すのは昨年の年度代表馬であり、ダービー馬のドウデュース。
日本ダービーを制し、凱旋門賞に挑み、ジャパンカップを勝ち切った名馬を育て上げた人物が、今年の秋競馬に送り込む秘蔵っ子――それがライトトラックだ。
友道厩舎は近年クラシック戦線で数々の実績を残しており、
「友道厩舎が送り出す馬は本番でこそ怖い」という印象をファンの間でも強くしている。
そんな中、菊花賞に向けて“最終兵器”として送り出されたのがこの馬というわけだ。
ライトトラックとはどんな馬か
まず注目すべきはその血統。
父はキタサンブラック。天皇賞・春を連覇し、ジャパンカップや有馬記念も制した名馬で、種牡馬としてもイクイノックスを筆頭に数々の活躍馬を輩出している。
母系についてもスタミナ豊富で、距離が延びる菊花賞の舞台でプラスに働くことは間違いない。
これまでの戦績は2戦2勝の無敗。
新馬戦ではなく、未勝利戦からのスタートだったが、その走りはただの1勝では終わらない光を放っていた。
白百合ステークスで見せた勝負根性
特筆すべきは、前走の白百合ステークスだ。
レース序盤、ライトトラックは中団のやや後ろ。決して有利とは言えないポジションだった。
しかし、4コーナーで大外に持ち出すと、一気に加速。
直線では4頭が横一線に並ぶ叩き合いとなり、壮絶な勝負根性を発揮する。
相手は後にラジオNIKKEI賞2着となる実力馬・センツブラッド。
その強敵をわずかに差し切ったのだ。
勝ち時計は1分45秒3。
これは過去10年の京都芝1800m・3歳戦で最速の数字。
さらにラップを見ても、上がり4ハロン47.4秒、3ハロン35.4秒。
今年のきさらぎ賞馬サトノシャイニング(ダービー4着馬)が記録したラップを凌駕する内容だった。
つまり、すでに重賞級のパフォーマンスを秘めていることを、この一戦で証明してみせたのだ。

未勝利戦から光っていた素質
白百合ステークスの走りは偶然ではない。
前々走の未勝利戦から、すでにその非凡さは表れていた。
スタート直後は後方に位置していたが、じわじわと進出。
直線では大外一気の末脚を繰り出し、経験豊富な相手を一気に差し切って見せた。
このレースの勝ち時計と上がりラップも水準以上。
さらにそこからは4頭以上がすでに勝ち上がり、未勝利戦としてはレベルが高かったことが後に証明されている。
デビューわずか2戦で、ここまで高いポテンシャルを示すのは並の馬ではできない芸当だ。
強みと課題 ― 神戸新聞杯でのポイント
ライトトラックの強みは言うまでもなく、末脚の切れと勝負根性。
ただし、これまでのレースでは序盤に置かれる傾向があり、追走力が課題とされている。
だが、この課題は必ずしもマイナスではない。
距離が延びる神戸新聞杯、さらに本番の菊花賞では、むしろ序盤で無理に位置を取りにいかないスタイルが有利に働くこともある。
後半の持続力勝負に持ち込めば、末脚を爆発させる展開が見えてくるだろう。
友道厩舎の確信
友道調教師は語る。
「この馬は、菊花賞を狙える器だ」
その言葉に嘘はない。
これまでドウデュースやワグネリアン、マカヒキといったクラシック馬を育ててきた経験があるからこそ、見抜ける資質がある。
神戸新聞杯は、重賞初挑戦であり、世代トップクラスとの初対決。
ここでどこまで食い下がれるか。
いや、食い下がるだけではない。
主役を奪う存在となる可能性すら秘めている。
まとめ ― 最終兵器は本物か
神戸新聞杯は、関西で唯一の菊花賞トライアル。
過去にも数々の名馬がここから羽ばたいていった。
ライトトラックは無敗のキタサンブラック産駒。
友道厩舎の“最終兵器”として送り込まれた存在だ。
・白百合ステークスで見せた驚異のラップと勝負根性
・未勝利戦から光っていた大器の片鱗
・距離延長で課題がむしろ武器へと変わる可能性
これらすべてが揃ったとき、ライトトラックは世代の頂点を狙う存在となるだろう。
秋の最終決戦――菊花賞。
その栄光の舞台に名を刻むのは果たしてどの馬か。
神戸新聞杯、その答えを見逃すわけにはいかない。
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