ダノンデサイルに立ちはだかる“欧州の新星”ドラクロワ

ヨーク競馬場とインターナショナルステークスの舞台
舞台はイギリス北部、ヨーク競馬場。
芝10ハロン56ヤード(約2063メートル)という距離で行われるG1競走 インターナショナルステークス は、欧州屈指の中距離決戦として世界的に知られている。
創設以来、ここを制した馬は数々の名馬へと成長し、欧州競馬の歴史を彩ってきた。
日本競馬との縁も深く、2005年にはゼンノロブロイが挑戦。善戦こそしたが勝利には届かず、しかしその勇姿は日本のファンの心に刻まれた。
「インターナショナルSは、日本馬と相性が良い」――そう語られるのも、挑戦の歴史があるからだろう。
そして2025年夏、ついに日本から ダービー馬ダノンデサイル が参戦する。
だが、ここで立ちはだかる存在がいる。
それが――欧州の新星 ドラクロワ だ。
ドラクロワの血統背景──母は北米の鉄の女・テピン
ドラクロワを管理するのは、世界的名伯楽 エイダン・オブライエン。
数多のクラシックホースを送り出してきた男が、自信を持って送り出すのがこの馬である。
血統もまさに一級品。
母はアメリカの名牝 テピン。
芝マイルG1を6勝し、北米競馬を席巻した“鉄の女”だ。
その切れ味、勝負根性は欧州遠征でも証明済みで、英国のロイヤルアスコットで勝利を挙げたほど。
その資質を色濃く受け継いで誕生したのがドラクロワである。
父は欧州で実績ある種牡馬。母譲りの瞬発力と、父譲りの持続力を兼ね備え、早くも「欧州を震わせる存在」と言われるまでになった。

春の戦績──バリーサックスS、愛ダービートライアルを連勝
3歳シーズンを迎えたドラクロワは、春のアイルランドで鮮烈な走りを見せた。
まず バリーサックスステークス(G3) を快勝。続く 愛ダービートライアルS でも余裕のある勝ちっぷりで連勝を飾る。
ここで陣営は確信した。
「この馬こそクラシックの主役だ」と。
そして迎えた 英国ダービー。
1番人気に推されるほどの高評価を背負いながら、結果は9着惨敗。
ファンに衝撃を与えた敗戦だった。
しかし、敗因は明らかだった。
「距離が長かった」
そう判断した陣営は、迷わず進路を変更する。
真価を問う舞台──エクリプスステークス
次に選んだのは、古馬混合G1の エクリプスステークス。
距離は10ハロン。英国ダービーよりも短く、ドラクロワにとってはベストの舞台だった。
だが、ここで運命の試練が待ち受ける。
直線で前が壁。進路がなく、一度は最後方まで下がるという致命的な不利。
誰もが「これで終わった」と思ったその瞬間――。
残り250メートル。
外に持ち出したドラクロワは、まるで弓から放たれた矢のように加速する。
豪華な古馬勢を一気に差し切り、G1初制覇を成し遂げたのだ。
しかもその勝ち方は、着差以上に衝撃的だった。
「一度不利を受けてからの差し切り」というレースぶりに、欧州メディアは口を揃えてこう言った。
「これは本物だ」

ダノンデサイルとドラクロワ──激突の行方
そして今、ドラクロワは次なる標的として インターナショナルステークス を選んだ。
その舞台には、日本からダービー馬 ダノンデサイル が参戦する。
ダノンデサイルは東京優駿を制し、日本競馬の頂点に立った存在だ。
その瞬発力と安定感は国内では疑いようがない。
だが――欧州の舞台は日本とはまるで異なる。
深い芝、厳しいペース、そして歴戦の古馬勢。
日本のエースに立ちはだかるのは、欧州の“奇跡の差し切り馬”ドラクロワなのだ。

ドラクロワの強さを支える3つの要素
- 爆発的な末脚
残り250mから一気に差し切る破壊力は、欧州でも稀有な存在。 - 母テピン譲りの勝負根性
接戦になればなるほど強さを発揮する。 - エイダン・オブライエンの采配
欧州の頂点を知る名伯楽が、最高の形で仕上げてくる。
これらすべてが、日本の希望ダノンデサイルにとって脅威となる。
日本競馬ファンへの問いかけ
日本のファンは当然、ダノンデサイルに夢を託すだろう。
だが冷静に、欧州の現実を思い返してほしい。
- 残りわずかの距離で最後方から差し切った破壊力
- 母譲りの底なしの切れ味
- A.オブライエンという名伯楽の勝負勘
それらを兼ね備えたドラクロワが、果たして簡単に負けるだろうか?
結び──若き怪物の挑戦
2025年夏。
ヨークの芝を駆けるのは、ダービー馬ダノンデサイルか、それとも欧州の怪物ドラクロワか。
インターナショナルステークスという舞台は、ただの一戦ではない。
それは日本競馬の夢と、欧州競馬の矜持が激突する、世界最高峰の戦いである。
ドラクロワの末脚が、ダノンデサイルの夢を呑み込むのか。
それとも日本馬が歴史を塗り替えるのか。
──答えは、ヨークのターフが教えてくれる。

#競馬
#海外競馬
#ダノンデサイル
#ドラクロワ
#インターナショナルステークス
コメント