秋を告げる前哨戦
――9月15日。
舞台は中山競馬場。
夏競馬が終わりを告げ、クラシック最後の大舞台「菊花賞」へと続く道を示す、伝統のセントライト記念がやってくる。
このレースは、単なるトライアルではない。
過去を振り返れば、皐月賞やダービーで涙を飲んだ馬たちが、再び輝きを取り戻す舞台となり、そして菊花賞を目指す者にとっては決して避けられない試金石となってきた。
スタミナ、持続力、そして中山2200メートルというタフな条件を乗り越えられるかどうか。
その答えを求めて挑む馬の中に、どうしても語らなければならない存在がいる。
その名は――レッドバンデ。

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血統が語る「絆」
レッドバンデを管理するのは、美浦・大竹正博厩舎。
父はダービー馬にして、日本競馬を代表する種牡馬となったキズナ。
その父の名から連想され、ドイツ語で“絆”を意味する「バンデ」という名を授かった。
「絆の名を継ぐ者」として、この馬には血統が示す確かな裏付けがある。
父譲りの底力とスタミナ、そして勝負どころでの切れ。
大竹厩舎が送り出すこの馬は、名前が示す通りに“強き絆”を背負い、クラシック最後の舞台を目指して走り続けている。
驚異の勝ち時計――稲城特別の衝撃
レッドバンデの真価を世に知らしめたのは、前走の稲城特別だった。
ここで彼は2着に実に5馬身の差をつける圧勝劇を演じた。
勝ち時計は2分24秒3。
一見すれば単なる好タイムに思えるかもしれない。
しかし、過去10年の同条件で「2分24秒9以内、かつ後半4ハロン45秒9以内」を記録した馬たちの顔ぶれを見れば、その価値が一変する。
――アーモンドアイ。
――ソウルスターリング。
――シャフリヤール。
――ダノンデサイル。

いずれも後にG1を制した名馬ばかり。
その列に、レッドバンデの名が新たに刻まれたのである。
つまり、この時計は偶然の産物ではなく、彼が重賞級――いや、それ以上の存在であることを強く示している。
青葉賞で見せた「負けて強し」
さらに2走前の青葉賞では、出遅れ。
序盤で脚を使わされる苦しい展開となったが、それでも最後の直線では鋭い脚を繰り出し、勝ち馬からわずか0.1秒差の4着に食い込んだ。
着順こそ4着だったが、その内容は「負けて強し」と評するにふさわしいものだった。
クラシック前哨戦という舞台で、課題を背負いながらも能力を証明した一戦だったといえる。
中山で示した素質
さらに遡れば、3走前の中山2200メートル未勝利戦。
この舞台で叩き出した勝ち時計は2分13秒8。
未勝利戦としては史上2位となる好記録であり、この時点で既に「ただ者ではない」と囁かれる存在だった。
そしてその後の走りが、この時計が偶然ではなかったことを証明している。
レッドバンデの資質
レッドバンデの走りは、単に速いだけではない。
パワー、持続力、そして豊富なスタミナ――。
中山の急坂を2度越える2200メートル戦は、瞬発力だけでは攻略できない。
むしろ消耗戦になればなるほど、地力が問われる舞台だ。
その条件が、彼にとっては理想の戦場となる。
重い馬場でもバテず、最後まで脚を伸ばせる資質。
それこそが、この馬の最大の武器である。
歴史に名を刻む可能性
稲城特別で残した時計。
そこに並ぶのは、アーモンドアイ、ソウルスターリング、シャフリヤール、ダノンデサイルといった歴史を彩る名馬たち。
彼らに共通しているのは、後に必ず「G1馬」として栄光をつかんでいるという事実だ。
レッドバンデもまた、その系譜に連なる資格を手にしたといえるだろう。
セントライト記念という前哨戦をどう走るかで、彼の未来は大きく変わる。
菊花賞への道
セントライト記念は、ただのトライアルではない。
ここで結果を出し、内容を示すことができなければ、菊花賞という大舞台を勝ち抜くことはできない。
菊花賞は3000メートルの長丁場。
スタミナ、底力、精神力――あらゆる要素が試される決戦だ。
その前哨戦として、中山2200メートルはまさに「最適の試験場」といえる。
ここでレッドバンデが真価を発揮できるかどうか。
それが、父キズナから託された血統の証明であり、未来を切り拓く鍵となる。

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絆の名を継ぐ者
――アーモンドアイ。
――ソウルスターリング。
――シャフリヤール。
――ダノンデサイル。
名馬たちの名と並び立つ、その勝ち時計を刻んだレッドバンデ。
その蹄音は、確かに未来を震わせている。
セントライト記念。
そして、その先に待つ菊花賞。
絆の名を受け継ぐ者、レッドバンデ。
彼の挑戦がどのような歴史を紡ぐのか。
競馬ファンならば、その瞬間を見届けずにはいられない。
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