ビザンチンドリーム ― もうひとつの凱旋門賞挑戦

競馬予想

秋のフランス・ロンシャン競馬場。
世界のホースマンが夢を託す「凱旋門賞」の舞台に向け、日本からの挑戦者たちが静かに姿を現しはじめた。

世間の注目は、世代最強ダービー馬・クロワデュノール。
だが、その陰で密かに存在感を放つ一頭がいる。
――その名は、ビザンチンドリーム

【天皇賞春・人気薄好走の要因】ビザンチンドリームは〝静〟の姿勢で2着 シュタルケが悔やんだレースの流れ(東スポ競馬)|dメニューニュース(NTTドコモ)

日本競馬ファンならば、この馬の名を耳にしたことがあるだろう。4歳牡馬。凛とした立ち姿、そして獲物を射抜くようなまなざし。その存在感は、決して他の名馬たちに引けを取らない。


新馬戦から示した「非凡な力」

デビューは一昨年12月の阪神2000メートル戦。
結果は圧巻だった。勝ち時計は2分02秒を切り、上がり3ハロンは33秒9。

このラップを新馬戦で記録した馬は、過去10年を振り返ってもわずか2頭。つまり、ビザンチンドリームの走りは“例外級”のものだった。初戦の段階で、その潜在能力は明らかに頭ひとつ抜けていたのである。

2戦目は伝統のきさらぎ賞。後方から大外を回りながら、直線で33秒7という驚異の末脚を披露。馬群を一気に差し切り、着差以上のインパクトを残した。ここでファンは確信する。「この馬は、ただの重賞馬では終わらない」と。

【きさらぎ賞】ビザンチンドリーム クラシックへ夢膨らむV ピーヒュレクJRA重賞初制覇 – スポニチ競馬Web


クラシック戦線での苦悩

しかし競馬は、常に順風満帆ではない。
皐月賞、そしてダービー――。
スタートの遅さ、追走力の甘さといった課題が露呈し、期待された結果は出せなかった。

大きな舞台での凡走。才能を疑う声すら一部で囁かれた。だが、関係者は諦めなかった。ビザンチンドリームの持つポテンシャルを信じ続けたのである。


転機 ― 菊花賞で見せた変貌

そのターニングポイントが訪れたのは、菊花賞。
未知の3000メートル戦に挑んだときだった。

4コーナーで大きな不利。進路が塞がれ、普通なら力尽きて終わってしまう場面。だが彼は諦めなかった。直線に入ると矢のように伸び、最速の上がりで5着に食い込んだのである。

「距離が延びた方がいい」
「長距離でこそ真価を発揮する」

そう感じさせる走りだった。課題とされていた追走力を、持ち前のスタミナでカバーしつつ鋭い脚を発揮する。ビザンチンドリームの新しい可能性が、ここでようやく輪郭を帯びてきた。


世界への扉を開いたサウジ遠征

さらに彼を一段階引き上げたのは、海外挑戦だった。
サウジアラビアで行われた「レッドシーターフハンデキャップ」。初めての異国の地で、彼は落ち着いていた。

直線に向くと余裕すら漂わせながら加速。悠然とした伸び脚で他馬を寄せつけず、堂々の勝利を収めた。日本馬の初挑戦で、いきなりの結果。これは“海外適性の証明”であり、同時に次なる挑戦への布石となった。

幼馴染みと共に掴んだサウジアラビアでのもう1つの勝利(平松さとし) – エキスパート – Yahoo!ニュース


天皇賞・春で見せた真価

春の大一番、天皇賞。
相手は国内トップのステイヤーたち。勝負どころで進路が塞がれ、追い出しが遅れるという致命的なロス。それでもゴール板を駆け抜けたとき、勝ち馬とはわずかアタマ差。

「もしスムーズだったら――」
そう思わずにはいられない走りだった。敗れはしたものの、むしろその末脚の破壊力が鮮明に浮かび上がった一戦だった。


欧州へ ― フォワ賞挑戦

そして今。
彼は再び海を渡る。目指すのは、凱旋門賞の前哨戦・フォワ賞。

クロワデュノールばかりにスポットが当たる今年の挑戦。だが、ビザンチンドリームの存在を忘れてはならない。日本屈指のステイヤーとして、欧州の長距離戦でこそ輝くはずだ。


欧州こそが「真の舞台」か?

日本では“あと一歩”掴み切れなかった栄光。
だが、馬場が重く、持久力が求められる欧州の舞台なら――。ビザンチンドリームが本当に求めていた条件が、そこにあるのかもしれない。

距離が伸びれば伸びるほど、彼の末脚は鋭さを増す。追走に苦しむ短い距離ではなく、持久力戦の長距離だからこそ、そのポテンシャルが爆発する。


結び ― 隠された「最強の一角」

クロワデュノールが世代最強と呼ばれるのは当然だ。だが、ビザンチンドリームもまた、日本が誇る最強の一角である。

潜在能力は、まだ完全には開花していない。
世界はまだ知らない。

だが明日――。
その名が欧州に刻まれる瞬間が訪れるかもしれない。

ビザンチンドリーム。
彼が見せる末脚が、凱旋門賞へと続く希望の光となるだろう。

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