怪物に――新たな刺客、現る。
今週行われる2歳重賞、札幌2歳ステークス。
毎年、後のクラシック戦線へつながる可能性を秘めた若駒たちが集う一戦ですが、今年は個人的にも非常に楽しみにしている対決があります。
その中心にいるのが――
ショウナンガレオン。
今年デビューした2歳馬の中でも、現時点で僕が最も高く評価している一頭です。
しかし、そのショウナンガレオンの前に、ここへ来て非常に興味深い存在が現れました。
ノヴァヴェローチェ。
こちらも新馬戦で、まだ能力の底を見せていないと思わせる走りを披露。
異なるレースで、それぞれ違った形の「強さ」を見せた2頭が、札幌2歳ステークスという舞台で激突します。
果たして、今年のナンバーワン候補がその実力を改めて証明するのか。
それとも――新たに現れた刺客が、その評価を一変させるのか。
今回は2頭の新馬戦を、ラップタイムや過去のデータから比較していきたいと思います。
■今年のNo.1候補――ショウナンガレオン
まずはショウナンガレオン。
デビューしたのは7月の函館。
舞台は芝1800mの新馬戦でした。
好位で流れに乗りながらレースを進めると、勝負どころでも手応えを残したまま進出。
そして直線ではしっかりと脚を伸ばし、デビュー戦を勝利で飾りました。
そこで記録した勝ち時計が――
1分47秒6。
2歳の新馬戦としては非常に速い時計です。
ただ、個人的にこの馬を高く評価している理由は、単純に「1分47秒6」という数字だけではありません。
注目したいのが、そこへ至るまでのラップです。

ショウナンガレオンが走ったレースの前半1000mは、
60秒4。
新馬戦でありがちな、前半を極端に落として最後だけ速く走ったレースではありません。
ある程度のペースで1000mを通過しています。
それにもかかわらず――
最後の2ハロンは、
11秒6-11秒4。
ラスト2Fを23秒0でまとめました。
前半から一定の負荷がかかっていながら、ゴールへ近づくほど失速するのではなく、最後の1ハロンでさらに加速しています。
ここが非常に優秀です。
■比較対象に出てきたのは――レガレイラ

そこで過去10年の函館芝1800m新馬戦について調べてみました。
条件は、
勝ち時計1分49秒9以内
そして、
ラスト2ハロン23秒0以内。
つまり、単純に速い時計で勝っただけではなく、速い決着の中でも最後まで高いスピードを維持した馬を探す条件です。
この両方を満たしていた馬として出てきたのが――
レガレイラ。
後にGIを3勝することになる実力馬です。
そして今回、ショウナンガレオンもこの条件に該当。
しかも勝ち時計はレガレイラの1分49秒8に対して、
1分47秒6。
もちろん、馬場状態やレース展開、開催時期などが違うため、時計だけを単純比較して「レガレイラより強い」と判断することはできません。
それでも、
速い全体時計と、最後まで衰えない末脚を同時に記録した。
ここには大きな価値があると考えています。
前半1000m60秒4。
そこから最後を11秒6-11秒4。
スピードだけではない。
道中で脚を使いながら、それでも最後にもう一段ギアを上げられる。
この総合力こそ、僕がショウナンガレオンを今年の2歳馬の中でも特に高く評価している理由です。
■しかし――新たな刺客が現れた
そんなショウナンガレオンが札幌2歳ステークスでも中心になる。
そう考えていたところに――
非常に気になる一頭が現れました。
ノヴァヴェローチェ。
こちらも芝1800mの新馬戦でデビュー。
2番手付近で流れに乗り、直線でもしっかりと脚を伸ばして勝利しました。
勝ち時計は、
1分48秒2。
この数字だけでも悪くありません。
しかし、ノヴァヴェローチェについて本当に注目したいのは、勝ち時計以上にレース終盤のラップです。

前半1000mは、
61秒3。
そこから徐々にペースが上がっていきます。
そしてラスト3ハロンは――
11秒6。
11秒5。
そして最後が、
11秒4。
非常に綺麗な加速ラップです。
■ゴールへ近づくほど速くなる

競走馬は当然ながら、レースの中で体力を消耗していきます。
特に最後の直線では、それまでに蓄積した疲労もあり、最後の1ハロンでラップが落ちるケースも珍しくありません。
しかしノヴァヴェローチェは違いました。
11.6 → 11.5 → 11.4。
ゴールへ近づくにつれて、むしろ速くなっています。
そして後半4ハロンも、
46秒9。
これだけの数字でまとめながら、最速ラップを最後に持ってきた。
つまり少なくともラップを見る限りでは、
「最後まで完全には脚を使い切っていなかったのではないか」
と思わせる余地があります。
もちろん、これだけで能力の限界を断定することはできません。
しかし新馬戦ということを考えれば、
まだ底を見せていない。
そんな印象を持たせるには十分な内容だったと思います。
ショウナンガレオンが「一定の負荷を受けながら最後まで速い」というタイプなら、ノヴァヴェローチェは「後半に入ってからどこまで加速できるのか分からない」という魅力を持った馬です。
■過去の洋芝1800mと比較しても優秀
さらに、函館・札幌という洋芝1800mのデータから見ても、興味深い数字が出てきます。
過去10年の函館・札幌芝1800mで、
前半1000m61秒2以内
かつ、
後半1000m59秒8以内。
この条件を満たした馬を調べると、
ウィクトーリア
そして、
エコロヴァルツ
といった、その後オープンクラス以上で実績を残した馬が出てきます。
前半だけ速い。
あるいは後半だけ速い。
どちらか一方なら、展開によって記録できるケースはあります。
しかし、ある程度のペースで前半を走りながら、後半にも高い水準のラップを要求すると、該当する馬は一気に限られてきます。
だからこそ、こうした数字は能力を考えるうえで興味深い材料になります。
ノヴァヴェローチェもまた、現時点ですでに重賞級へ進んでいく可能性を感じさせる存在だと思います。
■ショウナンガレオンか、ノヴァヴェローチェか

では、札幌2歳ステークスでどちらを上に取りたいのか。
現時点で僕が本命に挙げたいのは――
ショウナンガレオンです。
最大の理由は、やはり新馬戦で見せた総合力。
前半1000mを60秒4で通過しながら、最後の2ハロンを、
11秒6-11秒4。
そして1分47秒6という勝ち時計。
前半から一定の負荷を受け、それでも最後まで脚を残している。
さらに洋芝の函館1800mをすでに経験していることも、札幌2歳ステークスへ向かう上では評価したいポイントです。
現時点では、こちらを今年のナンバーワン候補として上に取ります。
ただし――
だからといって、簡単にショウナンガレオンが勝つとは思っていません。
怖いのが、やはりノヴァヴェローチェです。
新馬戦で見せた、
11.6 → 11.5 → 11.4。
あの加速力を今回も発揮できるのなら、ショウナンガレオンにとって非常に厄介な相手になるでしょう。
そして札幌2歳ステークスという重賞の舞台で、さらに高いパフォーマンスを見せるようなら――
僕自身、今年の2歳馬に対する評価を変えなければならないかもしれません。
■今年No.1候補か――新たな刺客か
ショウナンガレオンには、
1分47秒6というスピードと、前半から脚を使っても最後まで加速できる総合力。
ノヴァヴェローチェには、
ゴールへ近づくほど速くなった、底知れない加速力。
同じ芝1800mで結果を残しながら、その強さの見せ方は少し違います。
だからこそ――
この2頭が同じ舞台で戦う札幌2歳ステークスは、非常に楽しみな一戦になりました。
今年のナンバーワン候補が、その評価をさらに確かなものにするのか。
それとも。
新たに現れた刺客が――
一気にその座を奪うのか。
まだキャリアの浅い2歳馬。
僕たちが新馬戦で見た能力が本物なのかどうか、その答えの一端がもうすぐ明らかになります。
ショウナンガレオンか。
ノヴァヴェローチェか。
2頭の怪物候補が激突する札幌2歳ステークス。
その答えが出るのは――
札幌の最後の直線です。


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