夏の札幌に現れた新星
夏競馬の舞台、札幌競馬場。
8月23日、1R・2歳未勝利戦。芝1800メートルで、一頭の素質馬が衝撃的な走りを披露した。
その名は ストロベリーツリー。

スタート直後から鞍上の手応えは余裕十分。道中も折り合いに苦労する場面はなく、スムーズに追走。直線に入ると軽く仕掛けただけで反応し、一気に加速。最後は後続を突き放す、圧勝と呼ぶにふさわしい内容だった。
勝ち時計は 1分50秒2。札幌芝1800メートル、稍重の馬場で記録した数字は、過去10年でも歴代2位となる好タイム。さらに、一昨年の札幌2歳ステークスを上回る時計でもあり、そのパフォーマンスはファンに強烈な印象を残した。
「ストロベリーツリー、やはり強い。」
誰もがそう確信する走りだった。

しかし光の裏に潜む影
ただ、このレースが示したのはストロベリーツリーの強さだけではない。
むしろその背後に浮かび上がったのは、もう一頭の存在だった。
その馬の名は クレパスキュラー。

クレパスキュラーの衝撃的デビュー
8月3日、札幌芝1800メートル。
同じ舞台でデビュー戦を迎えたクレパスキュラーは、ストロベリーツリーをまるで子供扱いするかのように下してみせた。
その着差、なんと0.9秒。
今回の未勝利戦を圧勝したストロベリーツリーを突き放した内容は、ただの新馬勝ちにとどまらない。
ファンや関係者の口から「化け物級」という言葉が漏れたのも当然だ。

時計が示す怪物性
クレパスキュラーの新馬戦は、決して楽な展開ではなかった。
道中で折り合いを欠き、行きたがる素振りを見せながらの追走。普通なら直線で失速してもおかしくない。
しかし、4コーナーで早めに先頭に立つと、そのまま押し切り後続を完封。勝ち時計は 1分47秒2。
この数字は、昨年の勝ち馬キングスコールの時計を0.6秒も更新。
そして、札幌芝1800メートルの 2歳コースレコード に輝いた。
過去、この舞台からはソウルスターリングをはじめ数々のクラシックホースが羽ばたいてきた。
だが、その中にあってもクレパスキュラーの残した時計は群を抜いており、既に歴代屈指のパフォーマンスと呼べるレベルにある。

ラップから見える特性
ラップを見ても、その能力は明らかだ。
前半から折り合いを欠きながらも、最後まで脚色が衰えず、むしろ持続力で押し切る形。
切れ味鋭いタイプではないが、一度トップギアに入ると止まらない持続力 が最大の武器といえる。
小回りコースでの立ち回りや、中距離戦での粘り強さは大きなアドバンテージとなるだろう。
課題と伸びしろ
もちろん課題もある。
気性はまだ若く、折り合いを欠く場面が目立つ。距離適性についても、マイル前後の方が合う可能性が高い。
しかし、これは裏を返せば「成長次第で大きな上積みが見込める」ということでもある。
現状の完成度で、すでにこれほどの衝撃を与えたのだ。
精神面が成長すれば、その走りはさらに凄みを増すだろう。

ストロベリーツリーとの比較が示すもの
今回の未勝利戦を圧勝したストロベリーツリー。
その強さは疑いようがないが、それ以上に注目すべきは「そのストロベリーツリーを子供扱いしたクレパスキュラー」の存在である。
未勝利戦の圧勝劇は、クレパスキュラーの怪物性を裏付ける材料となった。
もしストロベリーツリーが今後の重賞戦線で活躍するようなら、クレパスキュラーの評価はさらに跳ね上がるだろう。
クラシックへの道
札幌2歳ステークス、朝日杯、ホープフルステークス…。
2歳戦からクラシックに直結するレースは数多い。
クレパスキュラーの走りは、すでにその先の大舞台を意識させるものだった。
潜在能力は規格外であり、ここからの成長次第ではクラシック制覇すら現実味を帯びてくる。

結論──未来を震わせる才能
ストロベリーツリーの圧勝劇は、ファンに「やはり素質馬だ」と確信させる走りだった。
だが同時に、その存在はクレパスキュラーの怪物性をより強く際立たせることになった。
折り合いに不安を残しながらもコースレコードを叩き出し、素質馬を完封する内容。
現状の完成度だけでここまで走れるのなら、成長すればどこまで強くなるのか──想像すら難しい。
クレパスキュラー。末恐ろしいまでの才能が、いま札幌の芝から競馬の未来を震わせている。

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