祝日開催の最終日、京都競馬場に走った衝撃
祝日による3日間開催となった先週の中央競馬。
多くの競馬ファンが注目したのは重賞戦線だったかもしれないが、その最終日、京都競馬場でひっそりと、しかし確かな衝撃を残した一頭がいた。
舞台は京都競馬場5R、3歳新馬戦。
このレースで圧巻の走りを見せ、スタンドをどよめかせたのが、栗東・橋口厩舎所属のニシノサリーナである。

良血ニシノサリーナが圧巻の5馬身差V 橋口慎介調教師「重賞でも通用すると思う」【3歳新馬・京都5R】 | 競馬ニュース・特集なら東スポ競馬
京都5R・3歳新馬戦で見せた圧巻の内容
ゲートが開くと同時に、他馬とは明らかに違う反応を見せた。
鋭いスタートダッシュ。
鞍上が抑えにかかるも、その勢いは収まらず、自然な形でハナへ。
無理に競りかけられることもなく、主導権を握ったニシノサリーナは、前半600mを36秒1という非常にゆったりとしたペースでレースを進めていく。
逃げ馬にとって理想的とも言える展開。
道中のリズムは終始安定し、折り合いもついているように見えた。
そして迎えた直線。
後続が仕掛けるのを待つように、鞍上はムチを入れることなく手応え十分。
軽く促されただけでスッと加速し、そのまま後続との差を広げていく。
結果は5馬身差の圧勝。
危なげない内容で、見事な初勝利を挙げた。
時計とラップから見る評価の難しさ
ただし、数字だけを見れば評価は分かれるかもしれない。
勝ち時計は正直なところ平凡。
ラスト1ハロンは11秒2と決して悪くないが、驚くほど突出した数字でもない。
過去10年の3歳・芝1600m戦において、逃げ切りでラスト1ハロン11秒2を記録した馬は5頭存在する。
しかし、その多くはその後1勝クラス止まり。
データだけを見れば、重賞級、あるいはGⅠ級と断言できる材料は見当たらないのも事実だ。
数字では語れない「ニシノ」の物語
だが、ニシノサリーナの魅力は、数字だけでは語れない部分にある。
まず注目すべきは馬主。
競馬ファンなら誰もが知る、「ニシノ」「セイウン」の冠名でお馴染みの西山茂行氏である。
数々の名馬を世に送り出してきた名馬主の勝負服は、それだけでロマンを感じさせる存在だ。

ニシノフラワーという偉大な存在
そして「ニシノの快速牝馬」と聞いて、多くのファンが真っ先に思い浮かべるのが、あの名牝ニシノフラワーだろう。
桜花賞を制し、短距離・マイル路線で一時代を築いた名馬。
その存在はあまりにも偉大で、正直に言えば、ニシノサリーナと単純に重ねるのは酷かもしれない。
それでも――。
あの勝負服を背負い、軽快に逃げる牝馬の姿を見れば、どうしても記憶が呼び起こされてしまう。
「あの再来かもしれない」と。
少なくとも、ニシノフラワーの姿を一瞬でも思い浮かべた競馬ファンは、決して少なくなかったはずだ。

重賞2勝馬セイウンハーデスを兄に持つ血統
さらに血統背景を見れば、期待が膨らむのも無理はない。
ニシノサリーナの兄には、重賞2勝を挙げたセイウンハーデスがいる。
能力の高さは誰もが認める存在だが、一方で気性面に難しさを抱えていたのも事実。
折り合いを欠き、力を出し切れないレースも少なくなかった。
ニシノサリーナにも、現時点では同様の気性面の課題が見え隠れする。
逃げる形になったのも、能力というより気持ちが前に出た結果かもしれない。
しかし、それもまた若駒ならでは。
制御できるようになれば、さらに大きな可能性を秘めているとも言える。

血統と勝負服が背負う“重み”
この血統、この勝負服が背負ってきた歴史の重み。
それを考えれば、「ただの新馬勝ち」で終わらせるには惜しい存在だ。
時計やラップだけで評価すれば、まだ未知数。
だが、競馬というスポーツは数字だけでは測れない。
血統、背景、走りの質、そして物語。
ニシノサリーナは、そのすべてを備え始めている段階にある。
快速牝馬への成長を願って
願うことはただ一つ。
このまま順調に成長し、かつてのニシノフラワーのように、スピードを武器にターフを駆け抜ける快速牝馬へと進化してほしい。
その未来を想像させてくれただけでも、この新馬戦は十分に価値のある一戦だったと言えるだろう


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