秋競馬がいよいよ佳境に差し掛かろうとしています。
神戸新聞杯、オールカマーといった大レースが並ぶこの日曜、中山競馬場の芝やダートは多くの注目馬で賑わいます。
しかし、ビッグレースの裏でひっそりと――
未来のダート界を担うかもしれない“新星”が登場しようとしているのです。
その名は、リザードアイランド。
9月21日(日)、中山7R・3歳以上1勝クラスに挑戦します。

血統背景 ――芝とダートの二刀流を可能にする資質
リザードアイランドは美浦・田村康仁厩舎に所属する3歳牡馬。
父は皐月賞馬イスラボニータ。芝でクラシック戦線を沸かせ、GⅠ制覇も果たした名馬です。
母系を遡ると、兄にダートで4勝を挙げたスターターンがおり、こちらは砂の舞台で力を見せつけた実績馬。
つまり――芝とダートの両方に適性を示す血統背景を持ち、その中でも特に「ダートで覚醒する可能性」が示唆される一族なのです。

初めてのダートで“覚醒”
リザードアイランドがその才能を大きく開花させたのは、2025年4月19日の中山ダート1800メートル戦でした。
それまで芝での走りも評価されてはいましたが、真価を見せたのは初めて砂を踏んだこの一戦。
スタートを決めるとスムーズに2番手を確保。道中も落ち着いて折り合い、勝負どころでは自ら進出。
直線に入ると――その脚は鋭く、まるで他馬を嘲笑うかのように鮮やかに抜け出しました。
結果は2着に4馬身、さらに3着に4馬身という圧倒的差。
勝ち時計は1分53秒3。

Xユーザーのゆーくん📸さん: 「2025.4.19(sat) 中山競馬場 #田村康仁厩舎 #リザードアイランド https://t.co/8NjncT04w9」 / X
驚異的な時計 ――上級条件をも凌駕
この1分53秒3という数字が、ただの未勝利戦の勝ち時計で終わらない理由があります。
同日、同じ中山ダート1800mで行われたのは「2勝クラス」。
本来なら未勝利戦と比べ、2勝クラスの方が圧倒的にレベルは上。
しかし、リザードアイランドの勝ち時計はその2勝クラスより0.4秒も速かったのです。
さらに、あの未勝利戦からはすでに4頭もの勝ち上がり馬が誕生しています。
つまり「相手が弱かったから速く勝てた」という単純な話ではなく、リザードアイランド自身のポテンシャルが抜けていた証拠だと言えるでしょう。
まさに――ダート替わりで覚醒した瞬間でした。
コスタノヴァを超える資質
そしてもうひとつ、この時計には大きな意味がありました。
過去に中山ダート1800mを1分53秒0台で駆け抜けた馬は、わずか4頭しかいません。
その中には、今年のフェブラリーステークスを制したコスタノヴァの名が刻まれています。
しかし、リザードアイランドの走破ラップを見れば、コスタノヴァを凌駕している部分があるのです。
- リザードアイランド:上がり4F 50.6秒、3F 38.2秒
- コスタノヴァ:上がり4F 51.9秒、3F 39.2秒
比較すれば一目瞭然。
同じ条件で、しかも初めてのダート挑戦でありながら、リザードアイランドの方が速い上がりを叩き出していたのです。
数値が示すのはただひとつ。
この馬にはGⅠ級の器がある。
昇級初戦 ――真価が問われる一戦
そして迎える今回。
リザードアイランドは昇級戦となる「3歳以上1勝クラス」に挑みます。
舞台は再び中山ダート1800メートル。
前走の圧巻の走りが「偶然」ではないことを証明するには、絶好の舞台です。
パドックではすでに逞しい馬体を見せ、気性も安定。
ここを勝ち抜くことができれば、早い段階でオープンクラス、さらには重賞戦線へと名乗りを上げることになるでしょう。
“次世代のダート界を担う存在”へ
リザードアイランドはまだ3戦目の若駒。
知名度も、実績も、これから積み上げていく段階です。
しかし、血統が示すポテンシャル。
未勝利戦で叩き出した驚異的な時計。
そして、フェブラリーS馬コスタノヴァを超えるラップ性能。
これらの要素を総合すれば、彼が「次世代のダート界を担う存在」になり得ることは間違いありません。
結び ――未来を予感させる一戦
競馬は、常に未来を感じさせるスポーツです。
クラシックやビッグレースに目を奪われがちな週末ですが、その裏でひっそりと走る馬の中から、次世代のスターが誕生します。
リザードアイランド。
明日、その走りに出会う人々は、数年後「この馬を最初から見ていた」と誇らしく語れるかもしれません。
未来を拓くその一歩を――。
ぜひ目に焼き付けてください。
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