夏の門別競馬場に集う視線
夏の夜、砂塵舞う北海道・門別競馬場。
その独特の雰囲気の中、今年も伝統ある重賞 ブリーダーズゴールドカップ(G3・ダート2000m) が幕を開けようとしていた。
このレースは、地方と中央のダート牝馬が一堂に会し、
「ダート戦線の女王」を決める舞台として知られる。
歴代の勝ち馬を振り返れば、ラヴェリータ、メーデイア、アムールブリエといった名牝たちが名を刻んできた。
そんな由緒ある舞台に、今年ひときわ大きな注目を集める存在が登場する。
その名は――ダブルハートボンド。

無敗の戦績、5戦5勝
栗東・大久保厩舎所属の3歳牝馬、ダブルハートボンド。
その馬体を彩るのは、特徴的な【ダブルハート】の流星。ひと目見れば忘れられない個性だ。
そして何よりも彼女を特別な存在にしているのは、これまでの戦績。
デビューから5戦5勝、無敗。
ただ勝ち続けているだけではなく、内容も圧倒的なのだ。

Xユーザーのあーびぃさん: 「2025.01.11 中京10R 恵那特別 ダブルハートボンド 1着 https://t.co/EboVYZ8rEo」 / X
特徴 ― 隙のない完成度
ダブルハートボンドの走りを振り返ると、その強さは数字以上に際立っている。
- スタートの速さ … ダッシュ力に優れ、出遅れのリスクが少ない。
- 折り合いの良さ … 道中は落ち着きがあり、ペースが速くても崩れない。
- 直線の末脚 … 一瞬で相手を置き去りにする決定力。
さらに特筆すべきは「砂被りを嫌がらない自在性」。
ダート馬にとって大きな課題となる部分だが、ダブルハートボンドは一切動じない。
先行しても差しても戦える万能さをすでに見せている。
歴史を塗り替えた前走 ― 三宮ステークス
彼女の強さを最も雄弁に語るのが、前走・阪神競馬場で行われた 三宮ステークス(OP・ダート1800m) だ。
このとき刻まれた勝ち時計は 1分50秒0。
阪神ダート1800m、重馬場という条件で、牝馬が「1分50秒以内」で走破した例は過去10年ただの一度もなかった。
つまり、このレースは 史上初の快挙。
ダブルハートボンドは歴史を塗り替え、その存在感を一気に全国区へ押し上げた。
さらに遡れば ― 中京での記録的勝利
デビュー2戦目、中京ダート1800m(良馬場)。
このときの勝ち時計は 1分51秒台。
この水準を記録した馬は限られており、過去には
- サーマルソアリング
- アーテルアストレア
- キムケンドリーム
- ダイアナブライト

いずれもオープン以上へと出世し、そのうち3頭は重賞を制している。
だが、ダブルハートボンドの特筆すべきは――これを わずか3歳の時点で成し遂げていた ということだ。
潜在能力は、先人たちすら凌ぐ可能性を秘めている。
立ちはだかるライバル ― オーサムリザルト
もちろん、ブリーダーズゴールドカップは甘くない。
彼女の前に立ちはだかるのは、想定1番人気に推される オーサムリザルト。
その実績は確かで、すでに重賞を複数勝利している女傑。
ダート牝馬戦線のトップに君臨する存在だ。
だが、ダブルハートボンドのこれまでの走りを見る限り、
その力をも上回る可能性が高い。
不安要素 ― 重賞未経験
もちろん不安がないわけではない。
ダブルハートボンドはこれまでオープン特別までで、重賞は未経験。
強豪との初対戦で、プレッシャーがどのように影響するかは未知数だ。
しかし、彼女がこれまでに叩き出してきた数字、そして内容。
それらが示す答えはひとつ――
「すでに女王の器である」ということだ。

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クライマックス ― 無敗馬の真価が試される夜
8月の夜、北の地・門別競馬場で行われるブリーダーズゴールドカップ。
無敗のまま頂点へと駆け上がるのか。
それとも、初めての試練が待ち受けているのか。
ダート牝馬路線、ナンバー1を決める戦い。
歴史ある舞台で、流星をなびかせながら挑む無敗の女王候補――ダブルハートボンド。
その真価が、今、試される。

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